甚大な被害をもたらした能登半島地震。断水が長期化している被災地で深刻化した一つが、避難生活におけるトイレの確保だ。能登地域では衛生環境が悪化したことが被災者の大きな負担になった。トイレ問題はとりわけ初動対応が求められるとされており、44万人の市民が暮らす藤沢市が災害に直面した場合、備えは十分か。市に確認した。
市防災政策課によると、市では県被害想定調査に基づき、最大級の地震による避難者数を約17万7千人と想定。内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」では平均的な使用回数や日数の目安を示しており、これらを加味しながら整備を進めている。
断水時、避難所での設備面の備えは主に2つ。市民センターや小中学校など避難所に備える仮設トイレ(536カ所)と水がなくても使える「マンホールトイレ」(528カ所)があり、合わせて約33万4千リットルの貯留が可能という。
初動時の対応としては、便座などに袋をのせて使う携帯トイレを備蓄。仮設トイレの貯留分などを差し引いた3日分の備えとして、計約120万回分を22年度までに揃えた。これ以外に約6千人分の紙おむつも備蓄しているという。
また災害時には国が物資を届ける「プッシュ型支援」や市が他の自治体や民間などと締結する107の災害協定があり、仮設トイレなどを含めた災害支援体制を整える。同課ではトイレの確保について「数字上は必要な分は確保している」との認識を示す。
ただ課題もある。災害時のトイレの整備を巡っては地理条件や地域特性の違いなどから明確な指針が統一されておらず、避難者数の想定も自治体ごとにまちまちだ。
市では市の防災の基本となる「地域防災計画」があるものの、災害時のトイレの運用や初動体制を定めた個別の計画は「外に示せるものがない」(同課)。同課ではこうした個別計画についても「今後検討していく必要がある」とコメントした。
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