藤沢 文化
公開日:2026.03.13
片瀬海岸のゴルファー・八幡さん
いきいきシニア「元気の源」は
”キンッ”――。湘南を見渡す高台に、芯を食った快音が響き渡る。迷いのないスイングで白球を追うのは、片瀬海岸に住む八幡行彦さん。もうすぐ100歳を迎えようとする今もなお力強くクラブを振り抜く姿は、若手ゴルファーを驚愕させる。一体どのようにして、そのスタミナを保ち続けられるのか。波瀾万丈の歩みと衰えぬ情熱の源泉に迫った。
もうすぐ100歳、奇跡の弾道
神戸で生まれた八幡さん。銀行員だった父の転勤で幼少期は全国を転々とし、戦時中は東京へ。「焼夷弾で米を炊いて食べた」。激動の時代をタフに生き抜き、戦後すぐに結婚。藤沢の地に居を構え、土産物や飲食などの店を自営した。
ゴルフとの出合いは、30代後半のこと。当時、知人や主治医らはゴルフに熱中していたが、誰も車の免許を持っていなかった。一方の八幡さんは運転ができたため、仲間をコースへ送り届けるうちに、「お前もやってみたらどうだ」と誘われたのが始まりだった。
「自宅前の砂浜で練習した。ボールがなかなか手に入らない時代だったからね、引き潮の時に海から出てくるボールを拾っては打って」。来る日も来る日も自然相手に腕を磨くと、上達にはさほど時間はかからなかった。足場の悪い環境で鍛えられた体幹は、現在のショットの礎になっているのかもしれない。
華麗なる記録
八幡さんは、鵠沼海岸在住で日本プロゴルフ殿堂入りを果たしたプロゴルファーの故・河野高明さんとも親交があった。身長160cmと小柄ながら豪快なショットとテクニックで「リトルコーノ」の愛称で親しまれた河野さん。一緒にコースを回る機会も多く、全幅の信頼を寄せていた八幡さんは「スイングを見て盗んだ。私と体格も似ていたから、力任せではない体の使い方を真似したのさ」。独自の観察眼で技を習得する姿勢は、さながら職人のようだ。
最高スコアは70。上級者であることは分かるが、八幡さんのゴルフ人生を語る上で欠かせないのがホールインワンだ。これまでに8回達成。芙蓉カントリー倶楽部(大庭)にある全てのショートホールを制覇する偉業を成し遂げた。
疲れ知らず
日曜の月例会でプレーするのが、生活スタイルの欠かせない一部になっている。今年1月には、アップダウンの激しい18ホールを完走した。「疲れませんか」と案じる周囲をよそに、「疲れないんだよね、これが」と涼しい顔で笑い飛ばす。
元気の秘訣を尋ねると意外にも技術的なこだわりが返ってきた。「とにかく腰が回るようにすること。回して止めた瞬間に、クラブヘッドから全身の力がパッと抜けていく。これが大事」。チタンやカーボンになる前の柿の木の時代から、一番好きなクラブはドライバーだった。「真っ直ぐ当たると、とっても気持ちの良いものだ」と語る瞳は少年のように輝きを放っている。
「生涯現役」
今月22日には、先のゴルフ場で自身の百寿記念コンペが企画されている。杖をドライバーに持ち替え、赤いニットに袖を通すと、キリリと顔つきが変わった。何度か素振りした後、思いっきり叩いた。「ナイスショット」。ボールはぐんぐんと真っすぐに伸びた。切り絵のように遠くにそびえ立つ富士山を望み、にこりと満足げだ。
「ゴルフの意味は勝負でしかなかった。でも今はプレーまでのプロセスや心持ちに変わった」。友人と食事を共にし談笑することも、ささやかな楽しみの一つ。「皆はね、僕のことを元気すぎるって」。温かく見守られることが心の健康にもつながっている。
「生涯現役」。そう宣言し、これからも芝生の上に立ち続ける八幡さん。それはまるで生きている証だというかのように。
- 関連リンク
- 動画はこちら
ピックアップ
意見広告・議会報告
藤沢 ローカルニュースの新着記事
コラム
求人特集
外部リンク
- LINE・メール版 タウンニュース読者限定
毎月計30名様に
Amazonギフトカード
プレゼント! -

あなたの街の話題のニュースや
お得な情報などを、LINEやメールで
無料でお届けします。
通知で見逃しも防げて便利です!











