藤沢 社会
公開日:2026.08.07
セット×SFC 「感覚」から「測れる」価値へ 鵠沼の自然可視化
鵠沼を歩くと何だか心地良い――。藤沢の住宅地として歴史と豊かな自然環境を合わせ持つ鵠沼地区で、持続可能なまちづくりに向けた取り組みが始まった。市内を拠点に分譲住宅事業を展開する(株)セット(谷賢一郎代表取締役)は、慶應義塾大学SFC研究所で環境情報学部教授を務める一ノ瀬友博氏と共同で、鵠沼全域を対象とした自然価値の評価手法構築に関する研究を開始した。
緑と景観、数値に
これまで感覚や雰囲気で語られがちだった地域の自然環境を数値化し、今後のまちづくりや住宅・土地開発の基盤とする一風変わった試み。
鵠沼地区は、海岸林や砂地特有の植生に加え、明治期以降の歴史的な土地利用の積み重ねにより、独自の自然と景観を育んできた。しかし近年は住宅開発の進行に伴い、樹木の伐採や敷地の細分化が進むなど、地域環境の連続性や風景の一体性が失われつつある課題に直面している。
2002年の創業以来「まちの生態系を紡ぐ」をミッションに掲げ、既存の樹木保全や周辺環境に配慮した住宅を開発してきた同社にとっても、地域の景観と開発の調和は長年のテーマだった。
新指標でまちづくり
研究では、国土交通省が推進する環境評価の枠組み「TSUNAG指標」をベースに応用を図る。地形や歴史的変遷の把握から、緑地の質と量、暑熱緩和や雨水流出抑制といった気候変動対策、生物多様性の確保、さらには住民の健康や幸福感を示すウェルビーイングに至るまで多角的に分析。個々の住宅による敷地緑化や雨水循環などの取り組みが、地域全体の生態系や環境価値の向上にどう寄与するかを数値化する。
専門的な評価数値を行政や事業者だけでなく、地域住民にも分かりやすい共通の枠組みへと落とし込む。構築された手法は将来的に、地域での協定やまちづくりルールの策定など、住民同士の合意形成をスムーズに支えるための”共通言語”として活用されることが期待される。
同社は「地域の自然資本と調和した住宅開発のあり方を提示し、湘南エリアの新たなまちづくりモデル構築に貢献していきたい」としている。
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