関東に上陸した台風としては過去最強クラスとなった台風15号。猛烈な暴風雨により土砂崩れや倒木などが市内各所で発生した。また二階堂などで停電が長引き、市民生活を直撃した。
台風の接近を受けて市は、8日午後4時に災害対策本部を設置。滑川や神戸川が氾濫する危険があったため、一時、各流域に避難指示が発令された。市立小学校に避難所が開設され、15カ所に77人が身を寄せた。
一夜明けた9日朝には、被害が次々と明らかになった。
鎌倉駅西口そばでは、御成通り入り口のアーケードや街路灯が倒壊。玉縄の栄光坂では、土砂崩れによりなぎ倒された電柱や電線が道路をふさぎ、通行止めになった。電柱が乗用車を直撃する被害も出ている。
県立大船フラワーセンターでは、「玉縄桜」の原木が根元から倒れた。玉縄桜は同センターが育成し、1990年に品種登録された大船生まれの品種。神奈川県農政課の担当者は「根は出てしまっているが、絶望的な状況ではないと思う。回復は可能とみている。玉縄桜のシンボル的存在であり指定管理者とも相談しながら植え直しを検討していきたい」と話す。
市の発表によると、倒木やがけ崩れ、浸水などは450件を超えた。
停電長期化、生活を直撃
市民生活に大きな影響を及ぼしたのが停電だ。9日午前2時頃から市内各地で発生し、最大約1万1200軒が停電した。倒木や土砂崩れが広範囲で発生したことにより復旧作業ができず、停電が長期化。丸2日以上が経過した11日午後4時の時点でも約3800軒が停電したままとなった。
こうした事態を受け市は10日、県を通じて自衛隊への災害派遣要請を行い、翌11日朝から二階堂で作業が行われている。
台風通過後は、連日真夏日となった鎌倉市。市では、熱中症予防などを目的に、市役所本庁舎や支所などの公共施設に加え、鎌倉宮や川喜多映画記念館などの民間施設の協力を得て、休憩所として開放した。
(株)大塚製薬からはゼリー状の経口補水液約7千本が11日、市に提供された。休憩所のほか、二階堂や今泉台など停電が長引く地域で保健師が一人暮らしの高齢者宅を中心に戸別訪問し、体調確認をしながら配布した。
入浴の問題も
また停電により給湯ができず、入浴ができないといった問題も発生。
11日朝には、鎌倉宮に災害用シャワー2基が設置された。これはWOTA(株)が開発したもので、AI水処理技術により、一度使用した水を98%再利用できる。今夏、材木座海水浴場で試験活用をしており、市が同社に協力を要請した。
さらに市公衆浴場業生活衛生同業組合(小野田将夫組合長)は11日、停電が続く地域の住民が無料で入浴できるサービスを始めた。実施しているのは清水湯(材木座)、栗田湯(岩瀬)、常楽湯(台)、野田の湯(台)、ひばり湯(大船)。名前や住所の記入が必要。期間はあす14日(土)までの予定。詳細はひばり湯【電話】0467・46・5324へ。
ごみ処理費減免
市では、台風によるごみ処理について手数料の減免を行っている。停電の影響で廃棄する冷蔵庫内の食品や清掃ごみ、植木剪定材、粗大ごみ等が対象。受入事業場やクリーンセンターでの処理は9月24日(火)までの依頼分まで。センター依頼分、またクリーンステーションでの回収は概ね2週間以内に行われる予定。
減免の詳細は市ホームページ、市ごみ減量対策課【電話】0467・61・3396へ。依頼については名越クリーンセンター(【電話】0467・24・1097)、今泉クリーンセンター(【電話】0467・44・5344)へ。
(11日午後4時起稿)
鎌倉版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|