鎌倉を拠点に「紙芝居師なっちゃん」の愛称で活動する中谷奈津子さんが7月17日(金)から19日(日)まで、鎌倉芸術館で「火と水と此処に居る」と題した個展を開催する。昨年、活動開始から10周年を迎えたことを記念するもので、会場には初期から最新作まで約20点の原画と台本、絵コンテなどを展示。中谷さんは「地元の皆さんへの恩返しの意味も込めた企画です。ぜひ足を運んでもらえたら」と話している。
中谷さんは石川県出身。NHK金沢放送局でアナウンサーとして働いた後、上京しフリーに。NHK時代、番組で紙芝居を使ったコーナーを担当した経験や話術を生かし、2009年からプロの紙芝居師として活動を開始した。
11年3月の東日本大震災発生後は毎月のように避難所を訪れて紙芝居を披露するなど、被災地支援活動を続けた。この時に知り合った人の縁もあり、同年、鎌倉に住まいを移した。
道なき道進んだ日々
10年間の歩みは「紙芝居を新しいメディアとして認めてもらい、プロとして報酬をもらえるようにする」ための工夫の日々だった。
当初は「紙芝居だったらボランティアさんに頼むから」と言われたことも多かったという。
そこで絵柄も子どもたちの目を引く迫力のあるものに変わっていった。またストーリーの途中でクイズを入れて観客参加型にしたり、客席に飛び込んでハイタッチをしたりと「アナログでライブ」な紙芝居の特性を生かしたパフォーマンスを確立していった。
こうして評判は徐々に高まり、現在では学園祭など全国のイベントに出演するほか、企業から新商品のPRなどの依頼も増えている。
コロナ禍の気づき
しかし新型コロナウイルスの感染拡大によって状況は一変する。
今年に入って出演が決まっていたイベントはほとんどが中止となり、ゴールデンウィーク中に開催予定だった10周年記念個展も延期を余儀なくされた。
それでも緊急事態宣言発令中は、自身のユーチューブチャンネルで「なつこばなし」と題した10分程度の短いオリジナル作品を毎日配信した。「特にお子さんたちは外出もできず不安な気持ちで過ごしていると聞いていたので、少しでも和らげてもらえたらと考えた」と振り返る。
番組で企画した「アマビエ塗り絵大会」には30
を超える作品が集まった。また鎌倉芸術館の再開に合わせ、10周年記念個展の開催も決めるなど、「今だからできること」を続けてきた。
中谷さんは「コロナ禍で改めてこの仕事が好きなんだ、と実感することができた。今この時間を大切に技術を磨いて、再び皆さんの前に立った時に新しい自分を見てもらえるようにしたい」と話している。
期間中の展示時間は午前10時から午後6時(最終日5時)まで。会場は鎌倉芸術館1階ギャラリー3。観覧は無料。中谷さんへの問い合わせはkami.nacchan@gmail.comへ。
鎌倉版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
鎌倉山かるた会 大会で躍進中4月19日 |