パリ五輪体操競技の個人・団体で金メダル3個、銅メダル1個を獲得した岡慎之助選手(20歳・徳洲会体操クラブ所属・鎌倉市在住)、団体で金メダルを獲得した杉野正尭(たかあき)選手(25歳・同)に8月21日、鎌倉市から市民栄誉賞が贈られた。岡選手は「皆さんの声援があったからこそ」、杉野選手は「演技でお返しできたのでは」と感謝を語った。
表彰式と表敬訪問のため、鎌倉市役所を訪れた岡選手と杉野選手を出迎えたのは、大勢の市職員と居合わせた市民ら。割れんばかりの拍手の中、ガッツポーズや笑顔で応える2人に「おめでとう」「よっ、世界一」と祝いの言葉をかける人、手作りのうちわで盛り上げる人の姿もあった。
鎌倉市市民栄誉賞は、市内在住で学術、文化、芸術、スポーツなどの分野において、特に優れた業績を挙げるとともに、広く市民に希望を与え、活力をもたらした功績の人を表彰するもの。2人には表彰状のほか、岡選手には平行棒モチーフ、杉野選手にはあん馬モチーフの鎌倉彫の盾が後日贈られる予定。
松尾崇市長は「多くの方々に希望と勇気を与えてくれたことに敬意を表する」と活躍を称えた。
地道な努力結実
岡選手は、2022年の大けがを乗り越え、3個の金メダルと銅メダルを獲得。地道で「つまらない」リハビリを毎日何時間もこなしてきた。
杉野選手は、演技を極め研ぐことに注力。「神を細部に宿す」つもりで演技し、金メダルを獲得した団体戦では、その成果を「発揮できたのでは」と振り返る。
同クラブの新宅裕也ヘッドコーチは「2人とも同じ練習をずっとできるタイプ」と努力を明かし、米田功監督は「見ている方が諦めそうな状況でも諦めない姿に、鎌倉市民、国民が勇気づけられていれば」と語った。
岡山県出身の岡選手は、中学卒業後に徳洲会体操クラブへ。鎌倉在住歴は6年。クラブでは毎年市民との交流会を開いており、「交流の機会がもっと増え、鎌倉が勢いのある街になれば」。
三重県出身の杉野選手は、大学卒業後、同クラブに入り4年目。厳しい練習の息抜きに、海辺のカフェやドライブで心癒されているとほほ笑む。
今秋には、市内にクラブの新施設が竣工予定。「クラブに強い選手は何人もいる。ライバルとして刺激し合いたい」と岡選手。「4年後に向け技術を磨く。後輩にも、まだまだ負けないぞという思いはある」(杉野選手)
市民栄誉賞の過去の受賞者は、ロンドン五輪体操団体で銀メダルの田中和仁さん(12年)、世界体操あん馬で金メダルの亀山耕平さん(13年)、国際アンデルセン賞で作家賞受賞の角野栄子さん(18年)、東京パラリンピック卓球女子シングルスで銅メダルの伊藤慎紀さん(21年)の4人。今後表彰予定のセーリング混合470級銀メダリスト・岡田奎樹(けいじゅ)選手が加わると、7人となる。
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