香川の熊澤酒造(株) 常磐山文庫を移築 レストランとして再生
鎌倉山の開発に功績のあった菅原通濟(つうさい)(1894―1981)の美術コレクションとして知られる「常盤山文庫」。菅原氏没後閉鎖されていた同文庫がこのほど宅地開発で取り壊しの危機に瀕する中、茅ヶ崎の地に移築され再び生を受けることになった。
移築したのは茅ヶ崎市内で酒蔵やレストランなどを営む熊澤酒造(株)(熊澤茂吉代表取締役)。引き取り手がなかった同文庫をはじめ、菅原氏が鎌倉山に移築した古民家数棟のうち移築可能な2棟を同社が引きとる形で取り壊しが回避された。
常磐山文庫は、1624年に建てられた武家屋敷で、昭和3年に金沢の六浦より移築したとされている。菅原氏が趣味で収集した美術品や古書を収蔵し、美術館として一般公開されていたが、菅原氏没後は長期間放置されており痛みが進んでいたため移築には様々な障害があった。組み直すため手作業での解体を余儀なくされただけでなく、山の上から移築できる木を1本1本車で麓に運び出すという地道な作業を繰り返し、1年かけ茅ヶ崎に運んだ。運ばれた木はすべて洗浄・消毒を施し1年がかりで組み直され、レストランに生まれ変わった。熊澤氏は「日本建築は骨組みを組み換えることで何度でも使え、周りの環境にも合わせやすい。こんな素晴らしいモノが湘南にあったことに驚いた」と話し、「古いものがどんどん無くなる今、自分が孫の代に何か残していければ」と移築への想いを明かした。
菅原通濟とは
菅原通濟氏は1894年麹町生まれ。父は鉄道建設業界の大立者菅原恒覧。実業家として江の島開発に着手し大船、江の島間に有料道路を建設したほか、鎌倉の山を住宅開発し「鎌倉山」と命名するなど湘南の開発に影響力を発揮した。
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