二宮町が職員の時間外勤務に上限を設け、年間240時間を超えた分の時間外手当を支払っていなかった問題が明らかになったことで、村田邦子町長は9月18日に会見を開いて謝罪した。職員給与に関する条例では時間外に勤務した全ての時間に対して手当を支給すると定めているが、条例に反する「慣例」は少なくとも30年以上前から続いていたとみられる。町は労働基準法の規定に基づき、2016年度と17年度の過去2年分の未支給額3990万円を払う。
同町では厳しい財政状況や人件費の抑制を理由に、管理職以外の職員について時間外勤務を月20時間、年間240時間までと設定。この上限をオーバーして働いた分の時間外手当を支給していなかった。
村田町長は会見で「本来、条例を順守すべき立場の町がその条例を逸脱していたことに対し、町民の信頼を損ねることになり、その対象となる職員にも深くお詫び申し上げます」と頭を下げた。
町が記録を調べたところ、過去5年間の時間外手当の未支給額は1億1330万円。未支給があった職員は16年度が94人で、金額は1万3412時間分の2670万円。17年度は81人で6248時間分の1320万円だった。
労働基準法では2年前までさかのぼって賃金を請求できることから、町は16年度と17年度の未支給額を支払う方針。12月の町議会定例会に補正予算案を提出する準備を進めるという。
今後は条例に従い、時間外勤務をした全ての時間に対して手当を適正に支給することに改める。職員の健康管理や適正な労務環境の整備に取り組み、必要に応じて非常勤職員を配置するなどして時間外勤務の削減に努めるという。
二宮町の時間外手当未払いを受けて、本紙では近隣自治体にたずねた。
大 磯 町
大磯町は、時間外手当の未払いは「無い」と回答。町によれば、職員の時間外勤務は16年度が月平均20・4時間、17年度が20・7時間。時間外手当の予算として16年度に約7700万円、17年度に約1億800万円を計上したが、実際の支給総額は16年度が約6310万円(月平均175人)、17年度が約6570万円(同174人)だった。
町は「今後も条例等に基づき手当の支給を行っていく。併せて時間外勤務の縮減や職員の健康管理を推進する働き方改革の取り組みを継続する」と話している。
中 井 町
中井町も「不支給は無し」と答えた。職員の月平均時間外勤務は16年度が10・2時間、17年度が11・2時間。時間外手当をそれぞれ約3150万円(87人)、約3279万円(85人)支給した。
町は「どこの自治体も業務が増加している中、時間外勤務の抑制は難しい。当町も苦慮しているが、取り組んでいかなければならない課題であると認識している」と話す。
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