「ウッドデザイン賞2019」の上位賞29点が昨年11月に発表され、ハートフルデザイン部門に出展した大井町西大井の堀内ウッドクラフト(堀内良一代表(56))が優秀賞となる林野庁長官賞を受賞した。
全国413点の応募作品の中から29点が最終選出され、最優秀から2番目の賞にあたる林野庁長官賞を受賞した。堀内さんは「過去に自分で出展した作品で入賞したことすらなかったのに、今回は他の方から推薦していただき、さらに入賞することができて本当にうれしい」と喜びの表情を浮かべた。
堀内さんが主に制作する木製品は、病院で子どもに検査などの説明をする際に使う玩具「ぷれぱらウッド」。医療現場では細菌予防などの関係で木製品の利用が少ない。今回の賞では、子どもたちがCTやMRIなどの専門機器を必要とする検査時に、心理面での不安を軽減し、理解してもらうするためのキットとして、温かみのある木を採用している点が優れていると高い評価を受けた。
大井町で独立
小田原で漆器職人としてキャリアをスタートした堀内さん。その後、大井町西大井に工場を構え独立した。木製の医療玩具を作り始めたきっかけは、海外の病院では子どもたちに医療機器の説明をする際、木工製品が使われていることを知人から聞き、実際に依頼を受けたことが制作の始まりだった。
県産の木材を使用
製品のほとんどの木材は、神奈川県産の檜を使用している。すべてが手作りのため「最初は四苦八苦した」というが、制作するにあたり、必ず県内の医療従事者とともに意見交換を重ね、現場に足を運びながら、よりリアルなものに近づける。
さらに「独りよがりではなく、実際に子どもたちと現場で働く方々に効果のあるものをつくりたい」という思いから、新しく作品を作る際には、実際に機械を作っているメーカーに出向き、細かな構造や動きに至るまで研究を重ねる。CT、MRIの玩具のほかにも手術セットや放射線治療機、ストレッチャー、点滴器など10種類ほどある。
「人の役に立ちたい」と医療玩具を制作をはじめて15年ほどが経過した今では国内の大学病院や小児専門病院、総合病院など150施設に製品を納め、看護科の実習ツールや病院教材として活用されているという。
また、小田原市で生まれた乳児に木製品をプレゼントするウッドスタート事業にも携わる堀内さんは「作品の一つひとつに温もりを込めて作りたい」とほほ笑んだ。なお、ぷれぱらウッドは堀内ウッドクラフトのホームぺージ内で購入できる。
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