新型コロナウイルスが猛威を振るう中、開成町在住の郷土史家・大脇良夫さんに話を聞いた。安政コレラやスペインかぜなど、かつての疫病について足柄地区の各文献に目を通した大脇さんの思いとは。
郷土史家・大脇良夫さんに聞く
新型コロナウイルスの感染拡大阻止のため緊急事態宣言が出される中、大脇さんは地元足柄地域のかつての疫病時の状況を調べた。
江戸時代末期の安政コレラでは、江戸だけで約26万人が亡くなるという大変な事態となり、足柄地域でも多くの住民が亡くなっている。
史談足柄(25)(26)の中沼村名主・杉本田造記録帳によると、当時の足柄地域でも4つの村組合で死者が100人を超えたことが記録されている。しかし、当時を記録した史書は少なく、地域の被害状況の全容を知ることは難しいという。
1918年から3年のあいだ猛威を振るった、いわゆる「スペインかぜ」でも同様で、残っているのは断片的な事実のみ。松田小学校の罹患者数が多かったことや、南足柄村が区長(当時の自治会長)に宛てた、密集を避けるための注意事項などが通史から見受けられる程度だ。
小田原でも一部学校から流行が広がったとの記述があり、当時の主な「密」が学校であることも読み取れる。
大脇さんは「理由はわかりませんが、史書の中で過去の疫病に関する記述は非常に少ない。今回のコロナ禍の中で気が付きました」と話す。大脇さんは郷土史家という立場から「こうした史実は後世にしっかり伝えることが大切なのでは」と話し、いまのコロナ禍の被害を最小限にとどめるためにも必要性を説いた。「安政コレラは、罹患して3日で亡くなることもあり『3日コロリ』とも呼ばれました。私たちは、こうした試練を経て引き継がれてきた貴重な命です。今回のことは環境衛生を見直す、よい機会かもしれませんね」と話している。
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