7月〜9月期の概況
全業種総合の業況判断D.I.は▲(マイナス)15・3を示し、前回(24年4月〜6月期)と比べ8・1ポイント悪化した。多くの業種で仕入価格の高騰や配送料の値上げでコスト上昇圧力が強まり卸売業・サービス業を除く4業種の業況判断D.I.が悪化。人手不足が課題となる中「自社の業務内容の見直し・再検討」や「新たな人材確保に向けた採用戦略の見直し」を視野に入れる企業が多く見られた。
10月〜12月期の見通し
今期の業況判断予想は10・1ポイント小幅改善の▲5・2。売上額D.I.は19・3ポイント改善の8・6。収益D.I.は18ポイント改善の▲1・5の見通し。
製造業
業況判断D.I.は前回調査比12・7ポイント悪化の▲22・3。上半期から回復傾向だった受注状況が横ばい又は減少傾向となった企業がみられ、原材料価格高騰の影響も相まって業況判断D.I.の悪化となった。当面の重点経営施策として「機械化を推進する」と回答した企業数が前回調査から増加し、恒常的な人手不足への対応策として省力化を目的とした設備投資に取り組む企業がみられる。今期予想は10・1ポイント改善の▲12・2。
卸売業
業況判断D.I.は前回調査比2・9ポイント小幅改善の▲18・5。食品卸売業では、物価高や天候不良による仕入価格の高騰や配送料の値上げで仕入コストが上昇し、高騰分に対する価格転嫁に苦慮する企業がみられる。当面の重点経営施策として、「経費を節減する」と回答した企業が前回調査から増加した。建材卸売業では、仕入価格高騰に伴う利幅の縮小により収益D.I.が悪化している。今期の予想D.I.は18・5ポイント改善の0。
小売・飲食業
業況判断D.I.は前回調査比22・2ポイント悪化の▲28・6。食料品の値上げが相次いだことで、飲食店を中心に仕入先からの値上げ要請に対する対応に苦慮する企業が多くみられた。また経営上の問題点として「人手不足」と回答した企業が増加し不況感が強まっている。最低賃金が引き上げられ、人件費負担の増加が見込まれることも景況感の悪化の要因に。今期予想は1・6ポイント小幅改善の▲27・0。
サービス業
業況判断D.I.は前回調査比1・6ポイント小幅改善の▲10・6。運送業や理美容業の配送依頼数や利用者数が安定して推移し、介護業では需要が増加している。しかし、経営上の問題として「人手不足」と回答した企業が3期連続最も多く不況感が強まっており、サービス品質の低下を危惧し従業員教育を強化する企業もみられる。運送業では、2024年問題を背景に対応可能な配送依頼に制約が生じている。今期予想は14・9ポイント改善の4・3。
建設業
業況判断D.I.は前回調査比3・2ポイント悪化の3・2。主要取引先からの施工依頼数が安定的に推移している他、都内や県東部における建設需要の増加がみられていることからも好調を維持。6期連続のプラス域で推移している。しかし依然として人手不足感は強く、受注の機会損失や工期の長期化などの問題が常態化。2024年問題による労働時間の上限規制が影響し、人繰りへの対応に苦慮する企業が増加している。今期予想は14・2ポイント改善の17・4。
不動産業
業況判断D.I.は前回調査比2・7ポイント小幅悪化の▲10・8。販売状況は物価高騰や市場の金利変動等により消費マインドが低下し、一部地域で不動産の購入需要に一服感がみられる。仕入コストの上昇分を販売価格に転嫁できず、収益D.I.が悪化。仕入コスト上昇への対応に苦慮するほか、一服感をみせる不動産需要に対し慎重姿勢を取る企業も。今期予想は5・4ポイント改善の▲5・4。
■調査時期/2024年9月上旬
■調査地域/秦野市、伊勢原市、平塚市、厚木市、開成町
■調査企業数/340社
■回答企業数/330社
※D.I.値とは、ディフュージョン・インデックス(Diffusion Index)の略で、「良い」「やや良い」と回答した企業の割合から、「悪い」「やや悪い」と回答した企業の割合を引いた値。値が小さいほど業況判断は悪いということを表す。
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