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秦野 文化

公開日:2025.07.12

2冊の意欲作を出版
秦野の絵本作家 舘野鴻さん

  • 今回発行した2冊の絵本を持つ舘野さん

 秦野市在住の画家で絵本作家の舘野鴻さんが、新作絵本『うさぎのしま』(世界文化社)と、『すずめばち』(福音館書店)を刊行した。どちらも得意とする精密画ではない挑戦作で、書店やWEBで購入することができる。

戦争の記憶残るうさぎの島

 『うさぎのしま』は戦時中、毒ガス製造で地図から消された島・広島県大久野島を描いた絵本。近藤えりさんとの共作で、舘野さんは監修や絵の仕上げで関わった。

 制作のきっかけは、近藤さんがうさぎを題材にした絵本を描こうとしていたこと。「画力を上げるために実際のうさぎを観察し、スケッチした方がいい」と舘野さんがアドバイスし、その素材として観光地であり、うさぎの島として知られる大久野島を選んだ。

 しかし、同島について調べるうちに戦争の歴史があったことを知り、かつ舘野さんの昔の頃の記憶から、「もしかしたら祖父が関係があったかもしれない」という推測にいきついた。うさぎという絵本に扱いやすいテーマをフックに、戦争の歴史を残す意味も込めた絵本にすることを決めたという。

公開制作で一発描きの原画

 もう一方の『すずめばち』は、使われている原画ほぼ全てが公開制作の一発描きという意欲作。今年1月に平塚市美術館で行われたイベント「絵本の生まれる瞬間(とき)を見よ!」で、ギャラリーの前で下書きなしで描いた絵を使用している。そのため、10日ほどで完成させるという新たな表現に挑んでいる。

 「これを読む事で『嫌われ者』であるスズメバチにも暮らしがあり、その生きざまを感じてほしい」と話した。

関連イベントも

 7月26日(土)には昆虫食のTAKEO浅草本店で『すずめばち』の発売記念トークショーを、27日(日)には池袋ジュンク堂で『うさぎのしま』の発売記念トークショー(舘野さん・近藤さんトークショーとサイン会)を実施。また、うさぎのしま関連イベントとして、これら以外にも以下のイベントを予定している。

 ▽原画展=丸善丸の内本店(8月1日(金)まで)、広島県の蔦屋書店(8月6日(水)〜8月25日(月))、京都府のBooks&Cafe Wonderland (8月28日(木)〜9月30日(火))、長野県の絵本美術館 森のおうち(10月3日(金)〜2026年1月26日(月))

 ▽パネル展=奈良県の蔦屋書店(8月16日(土)まで)、京都府のラバーズスクレート(8月20日(水)〜9月10日(水))

 ▽トークイベント=京都府のBooks&Cafe Wonderland(8月28日(木))、京都府ラバーズスクレート(8月29日(金))、奈良県の蔦屋書店(8月30日(土)) 

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