瀬谷で謡曲を教える観世流名誉師範 高橋 零観さん 瀬谷在住
「謡曲は”日本のオペラ”」
○…日本の古典芸能、「能」の音楽部分を謡(うた)う謡曲。観世流の門を叩いて今年で55年。足を踏み入れたきっかけは「当時勤めていた会社の先輩に無理やり誘われて」という。「当時、社員の情操教育の一環として社内で能の上演があった。今では考えられないことだけど、謡曲に親しむ下地はあったのかな」。今では所属する相鉄線沿線の同好会「相謡会」の会長を務め、自らも謡曲教室「高謡会」を主宰する。
○…「謡い10年」。これは謡曲を一人前に謡えるようになるまでには時間がかかることを表した言葉だ。「私も始めてからおもしろくなるまで3、4年かかりました。それまでは少し苦痛だった」と笑う。少しずつ歌の「節」を覚えて歌えるようになると謡曲の奥深さに目覚めた。能や謡曲を「日本のオペラ」と表現し、「光源氏や楊貴妃など時空を超えた役柄を演じられるところが魅力」と話す。
○…「興味のあることは何でも手を出す」性格。たまの休みには山菜を採りに山歩き。「厚木の方に秘密の場所がある。たまには体を動かさないと。謡曲も実は体力使いますから」。「晩酌のおつまみくらい自分で作りたい」と、採ってきた山菜は自分で調理する。料理のスキルアップを目指し60代で地域の料理教室に通った。「同年代の人もいると思ったけど、自分以外みんな若い女性。花嫁修業の場に飛び込んじゃったみたいだった」と照れ笑い。しかし持ち前の大らかな人柄で溶け込み、得意な山菜料理を教室の生徒や先生に教えるほどまでになった。
○…「落語みたいに見てすぐに『おもしろい』と思ってもらうのは難しいが、まずは見てもらいたい」とし、「機会があれば、小・中・高校などで出張授業をしたい」と話す。今後は後進の指導にあたり、譜面に書かれたことだけではなく代々「口伝」で伝わる謡の節や調子をより多くの人に広め、「謡曲の裾野を広げていくことが使命」と語った。
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