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瀬谷区 人物風土記

公開日:2013.05.23

横浜港で最大規模のエンターテインメント・レストラン船を操る
福村裕敏(ひろとし)さん
ロイヤルウイング船長 65歳

人生の航海は順風満帆

 ○…エンターテインメント・レストラン船として横浜港随一の規模を誇る「ロイヤルウイング」。船長として操舵室から眺める海は時に穏やかで、時に荒々しい。「天候により毎日表情が変わる。一言で言うたら海は『正直』ですね」。湾内には大型客船やコンテナ船など多くの船舶が行き交うが、扉一枚隔てた船内で繰り広げられる乗客たちの楽しい宴を想い、揺れが少ない航路選びに全神経を傾ける。

 ○…愛媛県出身。海と縁のない環境で育ったことが、船乗りになりたいという少年の憧れをより強くし、20歳で大阪から徳島を結ぶフェリーの乗組員に。しかし、船の世界は厳しい階級社会。「最初の頃は甲板員としてクルーの食事の準備など雑用が多く、何度もやめようと思った」。それでも踏みとどまれたのは、どんな時も変わらなかった船を愛する気持ち。そして45歳、船の全責任を一身に背負う凛とした姿が尊敬の対象だった船長の座に就いた。

 ○…本州四国連絡橋の完成でフェリーが役目を終えたのを機に、2001年に転職で横浜へ。そこで果たしたロイヤルウイングとの対面は衝撃的だった。「これは、くれない丸や」。港に堂々と浮かぶ白亜の船。改装されて外観こそ変わっていたが、それはまぎれもなく、約40年前に驚くべき速力を誇っていた関西の客船だった。まだ下積みだった頃に大阪港で見かけ、「いつかあんな船に乗りたい」と思いを募らせた船に、船長として再会した偶然。「ここで人生をまっとうしたい」と、愛しそうに船を見つめる。

 ○…少年時代に描いた夢を実現させて海原に繰り出し、高嶺の花だった船で袖口に4本の金筋が入った船長の制服に腕を通す。「ずっと笑顔で過ごせた」。まっすぐ海と向き合い、歩んだ半生は順風満帆。「国際船と違い、手軽に利用してもらえる。この船で横浜の子ども達の夢を叶えたい」。海の魅力を多くの人に伝えようと、今日も双眼鏡を握りしめて針路を定める。

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