少子高齢化が進み、看護師の慢性的な人手不足が加速している。藤沢市では、2013年4月に藤沢市医師会が主となり「看護師を地元で育てる」を目的に「湘南看護専門学校」を開校。看護師不足に対応するため、地元で働く人材を育成している。今年3月、第1期生の27人が卒業予定。藤沢産の看護師が社会へ巣立ちの時を迎える。
湘南看護専門学校は全日制3年、カリキュラムの3分の1は地元の医療機関での実習になる。現在110人が在籍。卒業後も「湘南ナース養成プログラム」に基づく研修体制で支援していく。学生は年齢も性別もバラバラ。男性が入学する割合も増えているという。第1期生は、2月に行われる国家試験を経て、各病院へ巣立っていく。それぞれの思いを追った。
湘南で働く
学生の中には、地方から単身藤沢に来て学ぶ人も多い。沖縄県出身の田場千琴さんは、「大好きな海」のある藤沢で学ぶことを選んだ。
看護師は、幼いころから世話になっていた恩師の急死がきっかけとなり志すように。「身近に当たり前に生きていた人が突然いなくなった。命の尊さを実感し、自分も何か人の役に立ちたい」と学び始めた。
山形県出身の児玉恵理子さん(21)は、新設校という環境と卒業後の充実した支援体制に惹かれ入学を決めた。
中学生のころ、祖父が入院した病院で、やさしく接してくれた看護師が印象的で、「私もこんな大人になりたい」と志すことに。
2人は4月から藤沢市内の病院に就職が決まっている。「いつも学ぶ姿勢を大切に、知識や技術の向上を心掛けたい」と話し、故郷から離れた場所で働くことについては「藤沢は私たちの第二の故郷。少しでも貢献できるように頑張りたい」と抱負を語った。
母として再挑戦
一度はあきらめた夢に再挑戦をしている学生もいる。
新堂香さん(35)は、小学校3年生になる子どもの母。高校を卒業し看護師を目指し学校に通うが、家庭の事情により道半ばで断念することになった。その後、結婚や出産を経て、再挑戦しようと入学した。
課題や実習など思っていたよりハードだった。しかし第1期生は先生と過ごす時間も多く、学校祭やさまざまな行事を通して団結力が高まっていったという。
「実習では在宅医療が大切だと感じた。専門性を高めていくことも大切だが、いろいろなことに広い知識のある看護師になりたい」と決意を新たにした。
湘南ナースへ
卒業を予定している27人の学生は、藤沢市、茅ヶ崎市、寒川町の2市1町の医療機関へさまざまな思いを胸に、就職していく。
同校では、卒業後も質の高い看護実践能力を身に付けて活躍できるよう、連携病院の看護師らによる年に3・4回の演習や講義などの支援策を実施する。「湘南ナース」は、そのプログラムの修了と認められた看護師に授与される称号で、ブランドだけでなく看護師としての水準の高さも表している。
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