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公開日:2026.05.15

イスラエル軍に拿捕された夜 ガザ支援船団、武本さんが見た惨劇

  • 夜の海に光る閃光(武本さん提供)

    夜の海に光る閃光(武本さん提供)

  • クルーらと武本さん(左から2番目・同)

    クルーらと武本さん(左から2番目・同)

 イスラエル軍による軍事侵攻が続くパレスチナ自治区ガザ。鵠沼石上でプラスチックフリー専門店「エコストアパパラギ」を運営する武本匡弘さん(70)は、天井のない監獄と化した現地に支援物資を運ぶ「グローバル・スムード船団」(GSF)に日本人で唯一参加した。しかし、およそ80隻のうち22隻がイスラエル軍に拿捕される事態に。命からがら日本へと帰国した武本さんは「遠い国の出来事だと無関心にならず、戦争について多くの日本人に知ってほしい」と訴えている。

 海中を撮影し続けて40数年のプロダイバーで、環境活動家としても活動する武本さん。子どもや女性が死傷している現実に我慢ならなかった。「当事国だけの戦争ではない。日本を含め、深く関係している問題だ」。リスクを覚悟で船団への参加を決意した。

 船団には、世界中から約1万4千人の応募があり、1千人が選ばれた。そのうち武本さんは1隻の船長を担い、先月26日にイタリア南部シチリア島を出航した。「食料や衛生用品、おもちゃを積む時、現地の人を思うと涙が出てきた」

響く砲声と閃光

 3日後の午後8時ごろ、ギリシャ近くの国際水域を航海中に無数のドローンが飛来。その30分後にはボートが船団に急接近した。「“ドン”という音と同時に、200m前方の暗闇に閃光弾のような、炎のようなものが見えた。砲撃されたかと」。船団の一部は拿捕され、乗船していた民間人175人が拘束された。死と隣り合わせの状況に、武本さんはすぐに舵を切った。無線で救難信号を出した直後、通信が妨害された。ギリシャからの救援は受けられなかったものの、何とか逃げることができ、今月7日に帰国した。

 「私も傷を負っていたかもしれない」。拘束された人は解放されたが、拷問や暴行があった。

伝える任務

 武本さんは1カ月ほど教育したクルーに、船に積んだままの物資を託した。現在も毎日メールで連絡を取り合い、今月末までの到着を見込んでいる。

 ガザは封鎖が続き、支援活動はこれまで以上に困難を極めるが、武本さんは止まらない。帰国は活動の終わりではなく、日本に現地の状況を届ける新たなステージの始まりでもある。「私は気候危機を打開する活動をしてきた。平和も同じ。これまで通り、伝え続けていかないと。知ることは希望だから」

 武本さんの言葉は重い。目に焼きつけたガザの惨状。今後も活動を続けていく。

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