茅ヶ崎・寒川 人物風土記
公開日:2013.02.01
3月から始まる瀬戸内国際芸術祭2013に参加する現代美術家
石塚 沙矢香さん
大磯町在住 32歳
心にじんわり残る作品を
○…春、夏、秋を通して開催される「瀬戸内国際芸術祭2013」に参加する。地元の美しい島々を会場に作品を出展するのは22カ国約180人の芸術家たちだ。当初、応募したが当落の反応は無く、諦めていた矢先に届いた1通のメール。「それが合格ではなく、まずはプランを練り直すこと、それ如何では参加できるかも?というものでした。時間は無かったけど再提出で何とか通りました」。生みの苦しみを経験したからこその笑顔で振り返る。
○…屋内外を問わず空間全体を作品とする「インスタレーション」で自身を表現する現代美術作家。1月から作品を展示する男木島(おぎじま)(香川県)で制作準備に取り掛かった。今回は島の生活を支えた古道具を空中に吊るし、独特な海面を表現する。「以前この島では水がとても貴重なものだったそうです。海に囲まれた島の生活ということも含めて、水面を表現したかった。すごく素敵な場所ということも伝えたい」。当初の予定を変更し、より水のイメージが出せるよう、試行錯誤しながら作品は完成へと向かっている。
○…父親が転勤族で静岡や広島、横浜市内など様々な土地を経験した。美大卒業後に制作の場を求めて茅ヶ崎へ。「引っ越しが多かったので、環境が変わることへの抵抗感が無くなりました。ニュージーランドで2カ月間滞在しながら作品を制作する企画に参加した時も大丈夫でしたよ」。現在は市内のギャラリーに勤務しながら、夫が農業を営む大磯町で暮らす。
○…「芸術を続けていくことは大変だけど、心にじんわり残るような良い作品を作っていきたいです」。今回の芸術祭をきっかけに飛躍する作家も多く、大きなチャンスを手繰り寄せた。「まずは知名度を上げて作品的にも経済的にも自立したいですね。そして今まで支援して頂いた方たちに恩返しがしたい」。笑顔の裏に秘めた強い思いで3月の開幕を迎える。
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