横浜市がこのほど、市内小中学校の2021年度の暴力行為やいじめ、長期欠席の状況調査結果を発表した。それぞれで20年度より増加したが、市教委は小学校低学年の暴力行為の増加傾向を危惧。コロナ禍が児童の心の成長に影響していると分析して支援を進める。
調査結果では、暴力行為が小中学校合計で5010件と対前年度比で165件増加。いじめ(認知件数)は7556件で同2028件増。長期欠席は、不登校が6616人で同929人増、不登校以外は5290人で同3142人増となった。
それぞれ件数が増加しているが、市教育委員会は、20年度はコロナ禍の臨時休校などの影響で一部の件数が減少していたことも一因と分析。過去5年間の統計では増加傾向のものが多く、その傾向が続いていると見ている。また、市教委が懸念するのが、コロナ禍のコミュニケーション不足などが児童や生徒の心の成長に与える影響だ。
例えば小学校では、20年度に低学年の暴力行為者数が初めて高学年を上回り、21年度もその傾向が続く。市教委では、コロナ禍で低学年の児童が直接のコミュニケーションの機会が減少していることなどにより、相手の心情を察する力の育成や年齢相応の意思疎通ができていない可能性があると分析。また、コロナ禍で家庭環境が変化するなど、不安やストレスの要因も増えていると考え、複数の教師で組織的に支援する指導体制をさらに進めていきたいとする。
また、全体のいじめ認知件数についても、学習活動や行事等の制限が緩やかになったことで、コミュニケーションスキルが十分に獲得されていない児童生徒同士の関わりが増えたことも件数増加の一因と分析している。
国立成育医療研究センターの森崎菜穂氏は「こどものメンタルヘルスの問題は成人よりも問題行動に出やすく、コロナ禍の社会的制限に連動している可能性もある。一方で、保護者や先生も余裕がない状況なので、より子どもたちをきめ細やかに見守れる体制ができれば、もう少し改善できるのでは」と分析する。
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