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身近にある、肝硬変・肝がん撲滅のカギ 関東労災病院 佐藤譲院長にインタビュー
「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓。肝硬変の初期症状は乏しく「疲れやすい」、「むくみがある」などの症状を感じた時には、すでに肝機能が低下し、病気が進行している可能性が高い。がん死因の第4位にある肝がんの、早期発見の重要性と治療方法について、関東労災病院の佐藤譲院長に話を聞いた。
―初期症状が乏しい肝硬変を、予防するためには
血液の検査と超音波などの画像検査を定期的に行い、「拾いあげ」する必要があります。
ウイルス性肝炎の治療法は進んでおり、B型肝炎については根治できないまでも、ウイルスを血液中から減らし、病気の進展を遅らせることができます。一方、C型肝炎は治療法が明確に定まっています。インターフェロンを中心とした薬を組み合わせることで、9割方は治せるようになりました。他にも新しい薬が準備されていますので、C型肝炎は今後、ほとんどなくなると思います。ウイルス性肝炎は、公費で検査を行っていますので、積極的な受診を推奨します。ウイルスを消したからといって肝がんのリスクは他にもあります。検査を通し、肝がんを待ち構えることが大切です。
―肝硬変・肝がんになりやすい体質や遺伝的リスクはありますか
ウイルス性の場合、遺伝的なリスクはありません。
近年は、肥満によるリスクが高まってきています。肝硬変は、肝臓の線維化が起こり、肝機能が低下して発症します。肝硬変は、お酒をたくさん飲む人がかかる、という印象がありますが、お酒を飲まないのに、肥満傾向にある人がかかる「NASH=非アルコール性脂肪性肝炎」は、これからの肝がんになるケースとして注目されています。お酒を飲まない人は、お酒を飲む人よりも肝炎や肝硬変に対する警戒心が弱いので、今後は、NASHによる肝がんを早期に見つけられるかがテーマになってきます。NASHも、初期症状はありません。
―肝臓疾患の主な原因は何ですか
何と言っても「肥満」が問題です。BMI25を切るように、定期的な運動と食生活の管理をしなくてはいけません。普段の生活習慣では「アルコール」。1日のアルコール摂取量だとビール500cc、日本酒1合が目安です。
―予防や進行を遅らせるための対策はありますか
運動や食生活について地域の医師のもとで指導を受けることが大切だと考えています。糖尿病の専門医たちとも連携する必要があります。万が一、肝臓がんになった場合でも、直径15㎜ほどの小さな段階であれば様々な手が打てますから。 ―これからの課題について教えてください
高齢化に伴い、今後ますます「地域で完結できる医療」が重要になると思います。特に肝がんは年をとってからリスクが高まります。ご家族の送迎がなければ通えない治療では、必要な時に受けるべき治療が受けられなくなってしまう可能性がありますので。
病院と病院、病院と地域の開業医が連携をとり、地域の中で治療を終えるような連携をつくりたいと考えています。関東労災病院のある中原区では「中原区肝炎治療連絡会」を母体として、地域で肝疾患の治療に取り組んでいます。開業医を中心に、病院の医師がサポートに回る形で、一緒に取り組んでいきたいと考えます。地域医療の主役は開業医の先生です。ぜひ日頃からコミュニケーションを取るようにしてください。
関東労災病院
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4月19日
4月12日