「青柳選手、おめでとう」――。東京五輪日本代表に選ばれた、川崎工科高校出身でプロ野球・阪神タイガースの青柳晃洋選手(27)を祝う横断幕が、6月下旬から平間駅前に掲げられている。
企画したのは地元でジュエリー店「Pit」を営む三浦尚敏さん(63)。横断幕は阪神ファンのSNSなどで話題となり、それを知った青柳選手から三浦さんに直接電話で感謝の言葉が届けられたという。「日の丸背負い頑張れと伝えました」と頬を緩める。
コロナの影響で昨年閉店した平間の老舗「あだち時計店」で、店長を務めていた三浦さん。17年前、川崎工科の野球部員が時計修理に訪れたことを機に交流が始まった。商店街で売れ残ったパンを差し入れたり、進路相談に乗るなどし、部員から慕われる存在に。そんな三浦さんが今も忘れられないのは、「試合に負けた後、夜になっても涙を流しながら校庭を走っていた青柳選手の姿」。ドラフト前日にも時計店を訪れ、不安げな表情を見せていたという。
「サイン会したい」
三浦さんは今回、地元仲間と青柳選手を応援する後援会を発足。「大会が終わりコロナが落ち着いたら、地元の子どもたちのために青柳選手のサイン会をしたい。私の勝手な構想ですけどね」
地元関係者も歓喜に沸く。当時の監督で、現在は住吉高で指導する白石修二さんにも本人から吉報が届いた。「『侍ジャパンです』って言うから、頑張れよって。高1の秋からエース。プロ入りを公言し、私が制止するまで練習していた」と懐かしむ。高校時代、共に汗を流した永山友博さん(27)は「昔から強豪相手にも怯まず、プレッシャーに強い選手だった。世界でも活躍してくれる」と期待を込めた。