麻生区 社会
公開日:2022.01.01
顔がみえる「まち」に
鈴木和良さん(73才)=上麻生在住
柿生で子ども時代を過ごしたことのある人なら、一度は訪れたことがある店のひとつが「おもちゃのまつもと」ではないだろうか。古き時代を知る昔ながらの「おもちゃ屋さん」だ。
麻生区になる以前から、周辺地域の中心として商店が立ち並んでいた「柿生」。先代の父親が、新宿のデパートで洋服の仕立てに従事し、戦後に、住んでいた王禅寺から転居。1950年に駄菓子屋を始めた。「裏で洋品店をやり、表ではお菓子を売っていた記憶があるね」と懐かしむ。
子どもの頃から釣りが好きで、麻生川でよく釣りをしていた。商店街で売り出しなどをやる際、チラシを貼って街宣するトラックの荷台に乗って地域を回っていたのは良い思い出だ。
兄たちが次々と家を出ていったこともあり、20歳の頃に店を継いだ。「自然な流れだったから」と当時を振り返る。時代とともに、店先にはおもちゃも増えていった。小銭を握りしめて来る子どもたち。「昔の子どもたちの方がのんびりしていたかな。でも、いつの時代も子どもは変わらない。純粋そのもの」と笑顔を見せる。大学生や大人になってから「おじちゃん!」と顔を出してくれる人も。「それは自分の財産。その笑顔をみるのがうれしいし、楽しみだよね」
昔ながらのおもちゃ屋は、時代とともに減少。柿生の商店街も古くから続く商店の数が減った。「寂しいけど、時代だから」と残念がる。店先で顔を合わせると挨拶し「頑張ってるね」と声を掛けてくれるお客さんや商売仲間も多い。「元気をもらえるし、体が続く限り続けたい」とほほ笑む。
時代や店、住む人が変わっても変わらぬ柿生の街並み。これからも声を掛けあえる「顔の見えるまち」であり続けててほしいと望む。「贅沢な思いかな」。これからも店に立ち、子どもの笑顔を見守り続ける。
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