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公開日:2026.05.22
小澤俊夫さんの「語り」次世代へ 北野書店に追悼コーナー
北野書店(幸区)は4月18日に死去した、人の口から耳へと語り継がれる口承文芸の学者で筑波大学名誉教授の小澤俊夫さんを悼み、店内に特設コーナーを設置した。生前に親交が深く自社で出版も手掛けてきた同店が追悼の意を込め、小澤さんの遺した言葉を改めて紹介している。
両者の交流は2015年、北野嘉信代表取締役会長が『かわさきのむかし話』を復刻した際、生前多摩区在住で研究の第一人者であった小澤さんを訪ねたことから始まった。09年刊行の名著『こんにちは、昔話です』が絶版状態にあると知った北野会長が復刊を申し出ると、小澤さんは「そんな嬉しい話、ありがとう」と快諾。22年10月に同店の手で復刊が実現した。北野会長は「昔話は『育て方』ではなく、子どもの多様な『育ち方』を教えてくれる。子育ての指針になれば」と力を込める。
特設コーナーでは、同書に記された思想や至言をパネルで掲示。会場には、「子どもはおとなよりもはるかに敏感です。生きていることに対して」「知識なんて後からついてきますよ。子どもの魂が安定して成長していれば、知識なんて自然に吸収していくものです」「子どもが読んでくれっていうかぎり、それを読んでやってください。聞かせてくれっていうかぎり、聞かせてやってください。あれは長い人生のなかで考えたら、本当に短いゴールデンタイムです」といった、小澤さんの温かな眼差しが宿るフレーズが並ぶ。かつての店頭企画でも、「愛され、信頼されているという思いは、大人の体温や声によって知らず知らずのうちに形成される」といった言葉が多くの親たちの共感を呼んだという。
地域に根差す「川崎モデル」
また、小澤さんは「語り終わったら消えてしまうからこそ、語ることが大事」と説き続け、既存の読み物を「語るための本」として再話することを提案。同店と共に『川崎の昔話を語ろう』を製作した。小澤さんはこれを「川崎モデル」と呼び、全国展開への期待を寄せていたという。この呼びかけに応じるように、市内では司書らによる「語る会」の活動が今も草の根で続いている。
かつて幸区役所のすぐ近くに居を構えていた小澤さんは、弟の征爾さんがこの地から米国へ旅立った折の思い出を北野会長に語ったこともある。講演会では、その穏やかで包容力のある語り口に多くの聴衆が引き込まれたという。
同店でのフェアは6月中旬まで開催予定。北野会長は「先生が遺した昔話の重要性と深い愛情を、これからもこの地で繋ぎ続けていくことが私たちの使命だ」と、決意を新たにしている。
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