絵本作家かこさとしさん(88)の講演会が2月17日、中原市民館で開かれた。講演は「川崎の思い出―1950年代のセツルメント活動と子どもたち―」と題され、かこさんが1950年代に暮らした幸区古市場で、子どもたちと触れ合った思い出を語った。
当日はファンや市民のほか、当時古市場周辺に住んでいた住民など約300人が来場。壇上に元気な姿のかこさんが登場すると大きな拍手が送られた。かこさんは手書きの講演資料を作成し持参、その資料をもとに当時の思い出を語った。
子ども会では主に紙芝居を披露し、幻灯会では大勢の子どもたちが集まったとういう。
さらに、運動会では古市場だけでなく鹿島田などから大勢の子どもたちが参加したという逸話も披露した。「子どもたちは向上しようとしながら遊んでいた。子どもたちから教わることは多かった」と当時を振り返った。
また、当時遊んだ昔遊びを、ホワイトボードを使って説明すると、昔を懐かしむように来場者も声を合わせて昔遊びを思い出していた。年配の参加者も童心に戻ったように会場は笑顔に包まれた。
かこさんは56年から約14年間、幸区に居住。民間企業に勤務するかたわら、休日はセツルメント活動(貧困地区での生活向上と自立を助ける社会事業)に尽力。自作の紙芝居などを披露し、子どもたちを楽しませていた。
その後、紙芝居から絵本が誕生するなど、川崎市での生活は絵本作りの原点となり、「からすのパンやさん」「だるまちゃん」シリーズなどの人気作品を輩出している。
貴重な資料の展示会も
同時開催として、かこさん作品展示会が3月15日(日)まで、中原図書館6階多目的室で開かれている。
かこさんが描いた川崎のスケッチ(約20点)や半世紀前の川崎の子どもたちの絵(約100点)、絵本『どろぼうがっこう』『からすのパンやさん』などの複製原画(約20点)といった初公開作品を含む約140点を展示している。
開館時間は9時半から21時(土日祝日は17時まで)、入場自由。問い合わせは中原図書館(【電話】044・722・4932)まで。
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