戦後70年経った今年、戦争の悲惨さを語り継ぐため、区民の体験、区内の風景を通して、幸区に残る戦争の記憶をたどる。市最大の空襲「川崎大空襲」があった4月15日には、延命寺(都町)で慰霊の会が行われた。
1945年4月15日夜の10時頃、B29爆撃機約200機による川崎大空襲が発生。罹災者は10万人を超え、空襲で出た死傷者の大半はこの大空襲によるものだという。幸区では遺体の多くが延命寺に運ばれた。
今回で11回目となる延命寺での慰霊の会には、歴史を伝える活動をしている「さいわい歴史の会」のメンバーを中心に、遺族や区民など約15人が参加した。
例年、4月15日に集まり、延命寺内にある死者の戦災殉難者供養塔に線香と花を手向けて供養している。その後は、同会のメンバーらが戦争の体験談を話し、戦争の記憶を風化させないようにしている。同会会長の石田勝俊さん(84)は「今日が大空襲の日だと知らない人が多い。一世代違うとまったく意識が違う」と話し、「殺傷能力の高い特殊な爆弾が投下されたか、低空飛行の機銃掃射による攻撃だったのではないか」と当時を振り返り、逃げ回った恐怖を語った。
同会の野口始男(はるお)さん(78)は「始めて5回目ぐらいまではもっと参加者が多かった。戦争体験者も年齢を重ねており、その時の話が出来る人が減っている。私たちは出来るかぎり戦争を語り継いでいこうと思います」と話し、「この悲劇を偲んで、日常のあり方を考える機会にもなる」とも語った。
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