今季からイメージカラーは赤からライムグリーンに
舗装されたサーキットや公道を利用したコースをバイクで走行し、その速さを競う「ロードレース」。自然の中で、岩や崖、沢などの障害物が設けられたコースをいかにミスなく、地面に足を着けずに走り抜けられるかを競う「トライアル」。自然の地形を生かした勾配やカーブ、人工的に造られたジャンプ台など、多種多様なセクションが設けられた未舗装のコースでスピードを競う「モトクロス」。アメリカやヨーロッパ発祥のモータースポーツの日本における認知度はまだまだ低いが、国内でもそれぞれにトップレベルの大会が開催されている。
その中でもモトクロスの日本最高峰・全日本モトクロス選手権で活躍を続けているのが、地元出身の小方誠選手（30）。年間全９戦の獲得ポイント数で争われる同選手権シリーズチャンピオンの奪還に向け、今季は所属するチームを変え、新たな気持ちでシーズンに臨んでいる。昨季は全10戦行われたうち、第７戦終了時点までシリーズランキングトップを快走していたものの、第８戦での転倒の影響が最終戦まで尾を引き、ランキング４位で終えた小方選手。「本当に悔しい。あれ（第８戦の転倒）さえなければ」と念願のチャンピオン獲得が惜しくも叶わなかった悔しさを語る。シーズンオフ中は通常であれば、様々なコースがあり多くの大会が開催されている海外に飛び、調整するところだが、今回はチームの移籍に伴い、レースで駆るバイクも変わったため、国内で新しいバイクに慣れることに専念。エンジンの特性や車体の挙動の仕方を掴みつつ、バイクを自分好みのセッティングにすることに苦心したという。そんな中で迎えた今季は、開幕戦での転倒で肺に血が溜まってしまう大けがを負い、６月の第４戦からの復帰になりそうだが、「今季も目標はチャンピオン」と力強い。「昨季まではチームのスタッフにやってもらっていたことを、今季は、ほとんど自分でやっている。初心に戻った感じがする。僕は、きついほうが楽しいので」と満面の笑顔を見せる。
「バイクでしか味わえない魅力がある」
18歳で当時の中型免許を取得し、26歳で大型免許を取得したという小方選手。少しでもバイクに興味がある人には、「きっかけは何でも良いので、まずバイクに触れてほしい」と強調する。最近では、試乗会をはじめとする各種イベントが各地で開催されており、気軽にバイクに触れられる機会は多い。「イベントであれば無料だし、防具なんかも貸してくれるから、気軽に参加できるはず。難しいことは考えず、意外とバイクの世界は身近にあるということを感じてほしい」。あわせて、最近免許を取得した人、またバイクに乗ろうと考えている人には、「バイクと『対話』をしながら楽しんでほしい。多分、それぞれに思い描くイメージがあると思うけれど、焦らず、じっくりバイクと自分を慣らしていってほしい。痛い目を見てしまうのは、結局自分だから」。
「バイクというと『危険』とか『暴走』とか悪いイメージが浮かびがちだけど、バイクはスポーツだということを知ってもらいたいし、しっかり防具を着けて、ルールを守って走れば、安全で楽しい乗り物だということも知ってほしい」と小方選手。バイクにはバイクでしか味わえない魅力がある。その魅力が少しでも多くの人に伝わればと願う。
小方誠選手
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