町田版 掲載号:2020年2月13日号 エリアトップへ

町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然 其の54

掲載号:2020年2月13日号

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ロゼット

 人間が求める気候は何といっても温暖。それなのにこの冬はちゃんと寒い日が来ると少し安心する。雪国も同じこと。新潟では雪不足でスキーやスノーボードの大会ができないため、雪がある長野や岐阜に会場を移している。そろそろ雪に閉ざされる青森も、まるで東京の雪景色のようにまばらに白いだけ。豪雪は困るが普通に積もってくれないと住人の気持ちは不安の方が大きい。わが庭でも依然水仙と撫子が咲き並び、南方系のランタナがまだ花をつけていて、初めて越冬しそうな気配だ。野菜も今は葉ものが安く出回っている。暖冬で生育が良く、収穫は前倒し。本来の時期には反対に品不足になるらしい。そう、概ねちゃんと季節が巡ってくれないといろいろと不便だ。

 野菜だけではなく、温暖な地域の草には晩秋に発芽して越冬し、春にいち早く花をつけるものも少なくない。それらは立ち上がらず地面に張り付き、最もお日様の光を受けることのできる理想的な形態を保持する。この形をロゼットと言う。条件として、人為的に草が刈られる畑や畔、また花壇や路肩などが越冬型の彼らが好む場所だ。よく見られるのは、タンポポ=写真右上、ハルノノゲシ=同右下、タネツケバナ=同左上、コオニタビラコ=同左下などがポピュラー。我々も陽のあたる暖かな野原で手足を広げて大の字で寝ころべば気持ちいいが、越冬型の彼らは厳しい冬をその態勢で過ごす涙ぐましい頑張り。地面に張り付いているから風を受けることなく、霜や雪が乗っても、人や家畜に踏まれても生き残れる形で春まで耐え忍ぶ草たち。のはずが、今年は大して霜も降りず雪も降らず、妙に温かい日が多い。面食らっているかもしれないが、これは異常なことだから、春と間違えてうっかり立ち上がったらだめだよ。時ならぬ寒気で打ちのめされるかもしれないし、今年の日本はそれを望んでいないわけでもないから。気候変動がとまどいを生んでいる。雑草も人間も一緒。
 

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