町田版 掲載号:2021年11月11日号 エリアトップへ

町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然 其の92

掲載号:2021年11月11日号

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ホン

 キノコ類は大別すると腐葉土から発生するもの、木の幹から発生するもの、木の根に寄生して発生するものに分けられる。幹から発生するキノコとしては、シイタケ、ヒラタケ、エノキタケ、キクラゲ、ナメコタケなどがあり、根に寄生するものとしてはマツタケ、シメジ、クリタケなどがある。先日原町田地区の希少な雑木林を散策。ヤブミョウガの青い実や、盗人萩の種などを見て楽しんでいたら、ふと切り株の元にハナビラニカワタケ=写真=を見つけた。ラッキーとばかりに採取。近くで腐葉土に発生するトキイロラッパタケも見つけて、またまた採取。ハナビラニカワタケはキクラゲの仲間で無味無臭だが、プルプルとした食感で美味しくいただける。トキイロラッパタケはスープなどに浮かべると白い花のように見た目もよく、しかもほんのりバターの香りがする。この日は帰宅するなり早速ハナビラニカワタケを味噌汁でいただいた。同様に幹から発生するヒラタケも、かつて同じ林で大量に採れたことがあるが、幹に出るキノコは枯れかけた立木や倒木の養分で育つ、いわば木にとどめをさすキノコで、シイタケやエノキタケも然りだ。

 一方、シメジやマツタケは根に寄生して菌糸を広げる共生型で、ほぼ毎年同じ場所で発生する。シメジはダイコクシメジやシャカシメジ、シモフリシメジなどの総称でもあるが、本来のシメジはあえてホンシメジまたはダイコクシメジと呼んで流通している。かつてホンシメジは人工栽培ができないため稀少だったが、菌床栽培が成功してつい最近市販されるようになった。スミレも同じことが言えて、今はホンスミレと呼んで区別している。「ホン」を付けたのはやはりスミレが総称になったからで、シメジも同様にあえて「ホン」を付けることになったのは、「本当の」「本来の」「元々の」としたかったのだろう。地名に「本」や「元」が付くのも意味合いは同じだろう。

 では本物のシメジが市販される以前は、まずヒラタケの瓶による菌床栽培で株状に育てたものをシメジとして売っていた時期が長く、その後ブナシメジを瓶栽培してシメジとして販売していた。ヒラタケは株状にしても傘の裏のひだが柄から傘にかけて繋がっている。ブナシメジは傘に網目模様がある。しかしホンシメジが流通するようになると、いつの間にかシメジを名乗っていたヒラタケは本来の大きさのヒラタケとして、ブナシメジはブナシメジとして販売されている。要するに「香りマツタケ味シメジ」と言われるように、メジャーなシメジとした方が売れたということなのだろう。嘘も方便。あえて責めるつもりもないが、カペリンという魚をシシャモとして馴染んで食べてきたものの、本物が出ると本来の名前に戻すというものどうなのかなと。しかも「ししゃも(カペリン)」の表記。ただし、フィレオフィッシュは骨を除いた白身魚の総称だが、そのままスケソウダラバーガーじゃどうかと思うし、ヤマドリタケモドキはポルチーニのほうがお洒落だから、この程度なら嘘ではないから良いと思う。

 嘘も方便では困るのが選挙公約。あれは公約ではなく目標だ。当選するためだけの公約は掲げないでほしい。匂わせるマツタケよりも味シメジと言われる本物を期待する。

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