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町田 スポーツ

公開日:2026.04.23

FC町田ゼルビア 一通のメールが紡いだ絆 交通事故の後遺症に苦しむ少年が選手とピッチに

  • ゼルビアポーズを決めるサク君(中央)と家族

    ゼルビアポーズを決めるサク君(中央)と家族

  • 昌子選手と入場するサク君(中央)

    昌子選手と入場するサク君(中央)

 「交通事故で後遺症を負った息子にもう一度立ち上がる力を与えてほしい」――FC町田ゼルビアに届いた父親からの1通のメールがすべてのきっかけだった。

 クラブを熱心に応援するサク君(8)は昨年11月、下校中に交通事故にあい、脳の前頭葉を損傷する重傷を負った。脳挫傷による影響で左手足が麻痺となり、後遺症が残るかもしれないという過酷な現実に両親は絶望の淵に立たされた。

 「どうしたら辛いリハビリを頑張れるか」。悩んだ両親はサク君の大好きなゼルビアの選手に応援してもらえたらとクラブにメールを送った。父親の長尾悟さん(42)は「本当にわらにもすがる思いで。サインや寄せ書きを貰えたら勇気づけられるのではと思っていたら、まさか病院訪問までしてくれるなんて」。止まっていた家族の時間が再び動き始めた。

昌子選手と交わした約束

 メールを受け取ったクラブはすぐに動き、昨年12月、キャプテンの昌子源選手とFWの藤尾翔太選手がサク君の病室を訪問。サプライズに驚き、緊張するサク君に昌子選手は優しく語り掛け、1つの約束を交わす。「一緒に手をつないで、ピッチに入場しよう」。エスコートキッズとして戻ってくるという目標を得たサク君は、驚異的な頑張りでリハビリに励み、再び自分の足で歩く力を取り戻していった。

 そして迎えた今年3月28日のホーム川崎フロンターレ戦。ゼルビアの「Z」のマークが誇らしく刻まれた特注の装具をつけ、ピッチ前で昌子選手と手をつなぐサク君の姿があった。大歓声の中、しっかりと自分の足で歩みを進めるサク君。スタンドからは町田だけでなく、川崎サポーターからも温かい拍手とエールが送られ、スタジアム全体が「1人の仲間」を支える絆に包まれた。

 悟さんは「声援はもちろん、ゼルビアのゴール裏で横断幕まで作ってくれたり、スタジアムで募金活動までしてくれて。黒田監督や選手の皆さんも温かく寄り添ってくれた。ゼルビアはJ2時代から応援していますが、改めて町田にこのクラブがあるありがたさ、温かさに本当に感動しました」と感謝を語る。

夢のような一日に感謝

 試合から3週間後の4月12日、サク君は兄弟と公園で遊ぶ元気な姿を見せ、「またエスコートキッズをやりたい」と笑顔で語ってくれた。母親の萌さん(39)は「あの日は家族にとって本当に夢のような一日だった。サクが家に戻ってきて、また3人兄弟喧嘩の日々ですが、日常が戻ってきていることが本当に幸せです」。家族の絆、選手との約束、そしてファン・サポーター一体で紡いだ「優しさ」のエールは、これからもサク君の歩む道を応援している。

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