町田 コラム
公開日:2026.07.16
町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然
北上
6月の梅雨の最中、神社役員さんたちと鹿児島へ出掛けた。霧島神宮に昇殿して正式参拝し、神武天皇生誕の地に鎮座する狭野(さの)神社、島津の照国神社、薩摩一の宮枚聞(ひらきき)神社を巡拝。折しも梅雨前線の接近で雨と霧の三日間、桜島や開聞岳は低い雨雲に包まれてついに見ることもできなかった。まさに霧島連山の霧は重くのしかかり、傘を手放すことのできない三日間だった。それでも、霧に包まれていた各社の荘厳な社殿は神秘的な佇まいだった。旅から戻った数日後、鹿児島はW台風の影響で河川が氾濫するなど、もっと大変なことになっていた。
鹿児島はイヌマキの木が多い。大木もあるが家の生垣にも利用されている。イヌマキには特性があって、生垣にすると内側から外は見やすいのに、外から中は見えずらい。立ち寄った知覧の武家屋敷でも、きれいに刈り込まれたイヌマキが濃緑の生垣になっていたが、ふとそこにホタルガのようにひらひらと飛ぶやつが数匹。こちらのホタルガは黒に白い線があって、飛ぶと白が目立つ。知覧のそれは羽根の帯が黄色い。見たことのない蛾(蝶?)にときめいた私は速足で追いかけ、イヌマキにとまったそいつを接写した。人を恐れる様子がなく、微動だにしないから助かった。後日調べてみたら九州や沖縄地方にしかいないキオビエダシャクだと判明。
近年、クマゼミは北上して、こちらでもめずらしくなくなったが、私の幼少期の夏休み、クマゼミがシャンシャンと鳴くと、虫取り網を手に子どもたちが集まってきて、みんなで木を見上げて子どもなりに盛り上がったものだ。あの頃から半世紀余り、今や地球の温暖化は動植物の生態系どころか、豪雨災害や熱波など、世界中の気候に影響してきている。今は九州以南にしかいないキオビエダシャクも、いつか関東で普通に見られるようになってしまうのか。それとも、世界が団結して温暖化を止めるのか。停戦協定にサインしてもドローンやミサイルでやり合っている嘘つきな大国があるようでは、当分後者は望めない。
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