コロナ禍で飲食店が苦境に立たされる一方、三密を避けられることもあり需要の伸びているキッチンカー。その団体の1つが11月から市内の銭湯とのコラボレーションを展開している。意外な組み合わせのようにも見えるが、「地域コミュニティの場の提供」という点では共通点もある。
団体は「8O2食フェスBOX」実行委員会。イベントとキッチンカーを「つなぐ」活動をしており、今年の7月に富士森公園で行われたボクシングの興行の際に6店舗を出店したのを皮切りに、10月末から11月初頭までユーロードで行われていたイベントでも7店舗を出店。現在、10店舗ほどが登録している。実行委員長は、市内でテイクアウト中心の料理店を営む(株)アシストワン(新町)の栗原鉄平社長。
実行委員会では、今月から稲荷湯(子安町)で出店しており、今後、地元のキッチンカーが日替わりで登場する予定。ほかにも多摩地区の銭湯に広げていきたい考えだ。この取り組みに対して栗原さんは、自身が幼少期、祖父に連れられ銭湯に行っていた経験がベースにあると話す。今年9月、市内に3つあった銭湯の一つが休業すると聞き、「これ以上減ってほしくない」と思い、銭湯の集客につながればと出店を計画した。
また、キッチンカーにとって集客が低下する夕方以降に銭湯の客を見込める利点がある。
全国浴場組合のホームページでも「地域のふれあいの場として重要な役割を担い、我が国独特の生活文化を築いてきました」とあるように、銭湯はコミュニティの場として機能していた面がある。一方で、キッチンカーも「固定店に比べるとスタッフと客とのコミュニケーションが多い。お客さんから差し入れをもらうことも」(あるキッチンカーの店主)あることから、両者によるコラボで地域活性化への期待がかかる。
「知ってもらえれば」
稲荷湯の社長・加藤泰造さんは「今の銭湯は、ただお風呂を提供するだけでは成り立たない。常にお客さんを飽きさせない工夫が必要」と今回の出店を歓迎する。SNSによる出店場所の告知で稲荷湯の名を知ってもらえる点や、店頭に人が集まることで話題になる効果が期待できるという。「例えばクレープ屋さんのキッチンカーが来れば、家族連れが立ち寄る。たとえ入浴しなくても、『ここに銭湯があるんだ』と知ってもらえるだけでも将来のお客さんにつながる」と話した。
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