解説業などで活躍するオリンピック・柔道メダリストの 松本 薫さん 多摩市内在住 34歳
「優しい着眼」もつ元野獣
○…解説業は2019年の引退直後から。「着眼点が良い」と評価され、現在仕事が増えているところだ。昨夏の五輪では日本選手の調子や心理を見極めた解説に「分かりやすい」との声を受けた。心がけていたのは、当人が聞いても「不快にならないように」――。現役当時、自身が強みとした勝負の駆け引きを「卑怯」と解説され、両親を悲しませてしまったことが背景にある。「今回の五輪で日本選手は強かったです」
○…大塚の帝京大学出身。五輪の柔道で2つのメダルを獲得し、現在は現役時代所属した会社に残り、アイスクリーム店の運営に携わる。アレルギーに配慮するなど、「身体に優しい」商品を提供する店で商品開発などにも関わる毎日。ぼけて場を和ますなどムードメーカー役にもなっている。「コロナの影響で通販のみの営業が続く。早くオープンさせたい」。販売員の顔でそう話す。
○…多摩市の自宅では子どもの育児に悪戦苦闘中。2人の幼子と一緒に牛乳パックですべり台をつくり遊ぶなど、自身が好きなものづくりを通して子育てにあたるのが松本流だ。「ほぼ大変な毎日を過ごしています」と現役時代のニックネーム「野獣」からは想像もできない優しい顔に。「野獣はつくっていたんですよ」と世界で勝ち残るための手段だったと笑う。
○…子育て環境が良いと大学時代に慣れ親しんだ多摩地域へやってきて5年近く。「暮らしやすい」と振り返り、息抜きになっている多摩川沿いのランニングでは顔見知りのおばちゃんたちに自身の解説について褒められることも。「街の人たちが温かい」と笑顔をみせつつ、「今はアイスクリーム店を世界一にしたいんです」と。今度は野獣を封印し、笑顔で達成するつもりだ。
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