障害者の社会参加を目指そうと川口町のNPO団体が企画したラジオドラマに、八王子実践高校(台町)演劇部と都立八王子東特別支援学校(石川町)の生徒、卒業生が出演。ラジオドラマは5月23日、長野県諏訪地域のFM局で放送される予定だ。
企画を手がけたのは、障害者の雇用などを目的に活動するNPO法人21世紀自然環境循環研究所(川口町)。代表の平野浩美さんは「障害者は交友関係や、活動の範囲が限られていているのが実情。新しい取り組みをきっかけに、社会を広げてもらいたかった」と企画の狙いを話す。
平野さんは昨年6月のテレビ番組で、不登校の児童や生徒をラジオドラマに出演させている作家を知った。八王子市内でも実行しようと、すぐに作家がパーソナリティを務める長野県のラジオ局に連絡したという。
平野さんは「一般の学校と支援学校の生徒が一緒に出演できれば。これまでにやったことのないことをやりたかった」と振り返る。
各学校関係者に声をかけ、東特別支援学校と八王子実践高校演劇部の参加が決まった。1月下旬に生徒らに脚本を送り、2月に配役を決定。演技指導や打ち合わせは全て対面せずにオンラインで行われた。
演じ分けに苦労
東支援学校からラジオドラマに参加したのは舟生大希さん(3年生)と今春卒業した中野健吾さん(18)、卒業生の小山愛未さん(21)の3人。
コロナ下のため、練習はズームで指導を受けながら各自で行われた。舟生さんは「楽しい声と困った声の使い分けが難しかった」と苦労を語る。そんな舟生さんの様子を見ていた母・聡子さんは「新しいことには消極的かと思ったけど、演じ分けを考え、修正して一生懸命で楽しそうだった」と振り返る。
録音を終えた中野さんは「主役ではないけどがんばった。勇気をもらえる内容。実践高校と一緒に一つの作品を作るのは時間がかかるけど心強さも感じた。完成がすごく楽しみ」と語った。
全員一致で快諾
八王子実践高校演劇部は部員7人が参加。同NPOからラジオドラマの依頼を受けて全員快諾したという。
実は3年生はじめ全員が入部以来、人前で演技を披露したことがない。山崎亮治さん(3年)は「自分たちの作ったものを世に出すのは初。まだ実感がない」と心境を語る。部長の仲谷優杏さん(3年)は「障害のある人や他校との合作は初めて。コロナ下で一緒に練習や収録もできていないけど、個人的にはもっと交流をしてみたい」と期待を口にした。
平野さんは「生徒から一緒にやりたいという言葉を聞き、大成功だったと感じる。一般の高校と支援学校の生徒が、当たり前のように一緒に創作する環境を今後もつくれたら」と思いを込めた。
放送日時は5月23日、午後7時から8時。LCV-FM「ダンプおやじBOYのやっつけラジオ♡ナイトメア♡」で放送される。同FM局のウェブサイトからも聴くことができる。
![]() 八王子実践高の(左下から時計回りに)加藤由美佳さん、田中克彦さん、山崎さん、仲谷さん、古賀希さん、本田佳菜さん
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![]() NPO代表の平野さん
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