大和 コラム
公開日:2025.08.08
徒然想 連載329
花のお寺 常泉寺 住職・青蔭文雄
今月は、貧窮者(ひんきゅうしゃ)に財を与えないから、貧窮の状態は益々増大する。貧窮するからこそ、人は他人の物を盗むつもりで盗むのである、です。
出典は、インド、原始経典『長部経典』二十六経。
意は、人間は貧困の生活が続いてくれば、盗みをする。国王は何故盗みをしなければならないのかという根本の事情を知らずに、ただ泥棒を捕まえて刑罰を与えることに力を入れる。泥棒はこれに対抗し、捕らえられないように強力に自衛していくから略奪の度が増大し、悪徳は無限に広がり世の中は乱れていく、とこの仏典は教えている。
為政者たる人は、現象として表面化した悪事を強権で取り締まるのみであってはならない。社会全体が豊かになり、悪事をしなくても生活ができるようにしなければならない。
他の仏典では「王が各々の職業の人々に俸給と食事を準備しなさい。一人一人が自分の職業に専念するならば、王の国土を悩ますことはなく、国王には大いなる富が蓄積し、国土は安らかになる」と、教えている。
今から二千年以上前の発想だと考えると、この上なく近代的だと言える。
桃蹊庵主 合掌
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