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公開日:2026.01.01

山口市長新春インタビュー
愛着・誇りを原動力に
新たなまちづくりへ

  • インタビューに答える山口市長

  • 昨年行われた記念式典の様子

  • 市制70周年で作成した厚木人

 2026年の幕開けにあたり、本紙では山口貴裕厚木市長にインタビューを行った。山口市長は全国で相次ぐ自然災害、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み、再開発、そして新たに始まる第11次総合計画など、厚木市の展望を語った。(聞き手/本紙編集長 勝浦勝)

 ――市制施行70周年となった厚木市、一年を振り返り総括を。

 昨年2月1日に市制施行から70年の節目を迎え、市民の皆さまと共に70年の歩みをお祝いする事業を進めてきました。市制施行日の記念式典を皮切りに、スポーツ、文化、交流の視点から20を超える記念事業を開催。どの事業にも多くの皆さまに参加していただき、記念の年にふさわしい記憶に残る事業を展開してまいりました。

 記念事業を通じ、私自身も厚木の魅力を再発見する貴重な機会となりました。今秋に劇場公開される映画「キリコのタクト〜YELL〜」の撮影や「市の鳥」の制定に向けた市民投票からは、多くの皆さまの「あつぎ愛」を強く感じました。歴史冊子「厚木人」の発行や世界的アーティストとのコラボレーション企画では、歴史や文化の新たな魅力の発見につなげることができました。こうした取り組みが、まちへの愛着や誇りを育んでくれたものと確信しています。

 一方で、周年事業を一過性の盛り上がりにとどめてはならないと強く感じる部分もありました。記念事業で醸成された「あつぎ愛」「愛着」「誇り」をまちづくりの礎になる確かな力へと発展させてまいります。

共創のまちへ災害対策に自助・共助を

 ――大詰めとなる新年度予算編成。どのように取り組んでいますか。

 昨年10月の管理職に向けた予算編成説明会で、米アップル社のiPod誕生のエピソードを紹介しました。「固定観念にとらわれず、部下職員と協力してチーム全体で知恵を出し合ってほしい」というメッセージで、新しい発想を生かした予算編成に取り組むよう求めました。

 本市の財政状況を見てみると、歳入は市内企業の業績が堅調に推移していることなどから、市税などの増収を見込んでいます。一方で、高騰する人件費や物価などの影響による歳出の増加分が歳入の増加分を上回る状況となっています。

 2026年度からは、第11次総合計画がスタートします。将来都市像に「つながる未来都市‐A‐T‐S‐U‐G‐I‐」を掲げ、市民の皆さまに愛着と誇りを持っていただける魅力あふれるまちづくりを進めてまいります。それぞれのアルファベットには、市民の皆さまと共に未来をつないでいく「厚木の思い」を込めました。

 Aは「未来を切り開く」のAmbitiousです。未来を担う子どもたちの育ちや学びの充実を通じ、新しい時代を切り開く人材を育てていきます。Tは「共に創る、育む」のTogether。市民がみんなで支え合いながら住み慣れた地域で自分らしく暮らせる地域社会をつくります。Sは「安心と安全」のSafeです。防災・減災、防犯、交通安全などを通じ、市民の皆さまの命と暮らしを守り抜きます。Uは「ほかにはない」のUniqueです。本市ならではの魅力や都市機能を生かし、個性的で活力ある都市づくりを進めます。Gは「自然と共に」のGreenです。豊かな自然環境の保全や環境施策を通じ、自然と共生する持続可能なまちを実現します。最後にIは、「創造と発見」のInspireです。スポーツ、文化・芸術、歴史など本市の魅力の効果的な発信により、市民や本市を訪れる皆さまに創造と発見の機会を提供します。

 これらの思いは、総合計画に掲げるまちづくりの目標にもなっています。誰もが「住みたい」「住み続けたい」「住んで良かった」と感じられるまちの実現に向け、難しい財政状況の中でも知恵を絞り、市民の皆さまの期待に応えられる予算が編成できるよう取り組んでまいります。

 ――2030年のカーボンニュートラルの目標まで5年を切りました。市として進めることは。

 30年度のCO2排出量を13年度比で50%削減することを目標に掲げています。目標達成に向けて最も効果的なのが、太陽光発電の導入です。

 30年度までに市域内で導入すべき発電量は、160MWと試算。近頃、山林を切り開いて太陽光発電パネルを設置することが問題視されており、本市では建物の屋根や屋上などにパネルを設置し、建物で消費する電力をその場でつくることを推奨しています。

 22年度には目標達成に向けて、国の重点対策加速化事業交付金を獲得しました。市民の皆さまにお使いいただける補助金をかつてないほどに充実させ、住宅や企業の敷地への太陽光発電をはじめとした省エネ設備の設置を後押ししています。交付金の活用期限は26年度までですので、この機会に省エネ設備の導入を検討していただきたいと考えています。

 中小企業や個人事業主の皆さまから、「どのような対策を取れば良いのか分からない」という声も頂いています。ポータルサイト「厚木市カーボンニュートラルプラットフォーム」では、市内企業の取り組みを連載していますので、役立てていただければと存じます。

 個人の方には、市内在住の漫画家・きくち栞さんに描いてもらった「ナンデちゃんのなるほど!カーボンニュートラルfromあつぎ」を公開しています。個人でできることを楽しく知っていただけますので、ぜひご覧ください。

 今後もたくさんの取り組みや催しなどを通じ、楽しみながらカーボンニュートラルを目指していただけるよう取り組んでまいります。

 ――全国各地で異常気象、自然災害が発生しています。厚木市が進める災害対策は。

 近年、気候変動などの影響で、極端な大雨や台風の大型化・頻発といった異常気象の傾向が強まっています。地震のリスクも常に存在しており、過去の災害教訓を踏まえた自助・共助・公助の連携がいっそう求められています。

 自助の取り組みとして、建物の耐震化や家具などの転倒防止対策を呼び掛けています。停電や断水、道路などのインフラに損傷があった場合には、皆さまの日常生活にも大きな支障が生じます。災害に備えた家庭での備蓄は重要で、皆さまには7日分の水や食料に加えて携帯トイレの備蓄をお願いしているところです。共助では、地域での声掛けや支え合いが被害の拡大を防ぐ観点から非常に重要です。そのため、自主防災組織の強化、実践的な防災訓練の実施などに取り組んでいるところです。

 行政による支援である公助は、自助・共助の取り組みを下支えするものとなります。避難所の環境改善や企業などとの連携強化を進め、防災行政無線などの防災インフラの整備も進めていきます。今後も「市民の命と暮らしを守る」という強い覚悟を持って災害に強いまちづくりを推進してまいりますので、皆さまには自助・共助、特に近所付き合いの中で「近助」も育んでいただければと存じます。

 ――全国的に熊の被害が急増しています。丹沢山系を抱える厚木市の鳥獣対策についてお聞かせください。

 豊かな自然環境に恵まれた本市には、さまざまな野生動物が生息しています。農作物被害を引き起こすこともあり、広域獣害防護柵による人里への侵入防止対策、各種団体と連携した捕獲、個人で設置する防護柵への補助などといった対策を行っているところです。

 丹沢山地に生息するツキノワグマの数は約80頭と推計され、県レッドデータブック(2006)で「絶滅危惧種」に指定されるほどの個体数です。しかしながら、市内をはじめとした周辺地域では目撃情報が寄せられており、秦野、伊勢原の両市、愛川町、清川村とつくる県央やまなみ協議会に設置した鳥獣被害対策専門部会でも対応を協議。出没時の状況に応じたシミュレーションを実施しました。

 9月に「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」が改正され、クマやイノシシに対する人の日常生活圏での銃猟を可能とする「緊急銃猟制度」が創設されました。いざという時に備えて共通のマニュアルの作成も進めています。

 ――厚木都市計画都市再開発の方針が昨年11月に変更されました。今後の再開発、都市計画についてお聞かせください。

 厚木都市計画都市再開発の方針では、県央の広域拠点都市としての持続可能な発展を目指しています。人口減少・超高齢社会への対応、脱炭素社会の推進、循環型都市の実現、地域活力の維持・向上などさまざまな観点から、地域特性を生かしたコンパクト・プラス・ネットワーク型の都市づくりを推進。本厚木駅周辺の都市中心拠点や愛甲石田駅周辺の都市拠点などで、商業・業務系の都市機能を集積させること、居住環境を充実させることを基本方針としています。

 また、恵まれた自然を保全しながら自然環境資源を活用した観光交流拠点を形成し、多機能が連鎖・連携する職住遊近接型のバランスある都市構造を目指しています。

 本厚木駅北口では現在、本厚木駅北口地区市街地再開発準備組合に対する事業支援、駅前広場などの公共空間の整備方針の検討など、本厚木駅北口の生まれ変わりの実現に向けた取り組みを進めています。

――市民へメッセージ。

 4月には新たな総合計画がスタートします。本市の強みである先進技術と伝統、都市と自然、多様な市民の皆さまが調和した新しい価値を創造し、誰もが「ふるさと厚木」に愛着と誇りを持てる「共創のまち」を目指してまいります。

 昨今の物価高騰や気候変動による異常気象の激甚化など、社会経済情勢は目まぐるしく変化しています。そのような中で市民の皆さまの命と暮らしを守り抜き、笑顔あふれる1年にできるよう市長としての使命をしっかりと果たしてまいります。皆さま方のお力添えをどうぞお願いします。

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