戦後文化として花開いた”横須賀ジャズ”の再興をめざして市民有志が「ヨコスカ・ジャズ協会」を発足させた。ジャズをメインとした音楽イベントを中央周辺エリアで通年展開していくほか、商店街と連携して街の活性化につなげる考え。活動を通じてかつての横須賀の音楽風景を若い世代にも語り継いでいく。
横須賀の戦後復興の象徴とされるジャズ音楽。国内外の一流ミュージシャンが演奏を披露したEMクラブ(米海軍下士官クラブ)を基点に1970年頃まで隆盛を極めた。だが、それがロックの台頭やカラオケ文化の広まりを受け、次第に街中でジャズの音色が聞こえなくなっていた。
こうした状況を憂いているジャズファンは少なくなく、一石を投じたいとする市民有志らが協会の立ち上げに動いた。並行して横須賀海軍音楽隊出身で日本ジャズ界の草分けである原信夫さんが、自身の率いたビックバンド「シャープ&フラッツ」の当時の譜面(2000曲)の寄贈を申し出ていることなども受け、活動を具体化させることになった。同協会の要請で原氏が協会名誉会長に就任している。
全国ではジャズイベントが多彩に展開されており、地域活性や観光振興と結びついて成果を収めている事例は枚挙にいとまがない。宮城県仙台市の「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」は2日間で84万人もの観衆を集めているという。
同協会もジャズを介した中心市街地の活性化を志している。今月15日の発足式の場で長坂利広理事長は「地元商店街やバー、カフェなど連携しながら盛り上げていきたい」と方針を話した。具体的な活動として、大滝町のライブハウス「ヤンガー・ザン・イエスタディ」を拠点に年に4回「EMクラブナイト」と題したライブを開くほか、ラジオ番組とのタイアップによる公開ライブやドブ板通りでストリートフェスを実施することが決まっている。運営を支えてくれる賛助会員も募り、会報誌の発行などを通じて情報発信を行っていく。
これとは別に「ヨコスカ・ジャズドリームス」の初代プロデューサーを務めた岩堀恭一さんが来年、市制110周年を冠した野外ジャズコンサートを観音崎エリアで構想しており、同協会とも連携しながら実現化をめざす。
同協会の問い合わせは【電話】046・824・8366
横須賀中央のジャズ銅像「奇をてらい注目を」
”ジャズの街ヨコスカ”を視覚的に捉えることのできる唯一の存在が、中央大通りとYデッキにある楽器を持ったジャズメンのモニュメント。1987年に市制80周年の記念イベントとして「ByeBye EM─CLUBコンサート」を手掛けた岩堀恭一さんが、「横須賀の文化を語り継ぐシンボル」として市にアイデアを提案、その2年後にベンチに腰掛ける像が4基置かれるようになった。予算の兼ね合いで美大生にボランティア協力してもらったため作者は不明。岩堀さんによれば、「奇をてらった作品で注目が集まる」ことを狙ったという。その後、1997年にYデッキの完成に合わせて3基の像も設置。ハンチングに上半身裸の男性の姿が特長的なこちらは、彫刻家の黒川晃彦さんの作品である。
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