タウンニュース横須賀編集室では、2019年の年頭にあたり上地克明市長へのインタビューを行った。市長は「上地カラー」を鮮明に打ち出した音楽をツールとした街づくりや、着手し始めた谷戸再生事業に込めた思いを語ったほか、YRPの今後の方向性、中央エリアの観光拠点施設についても自身の考えを述べた。
(聞き手は本紙編集長、安池裕之)
「公約実現に全力疾走」
-昨年の出来事を振り返って、どんな1年でしたか。
「5月のウインドサーフィンW杯、8月のポケモンGOフィーバー、11月にはDeNAベイスターズのファンフェスタがあり、大型イベントが盛り上がりを見せました。『音楽にあふれた、ワクワクする街づくり』を掲げた街なかミュージックもスタート。猿島活用の新たな挑戦として展開した野外ディスコは話題を呼びました。来年もびっくりするような仕掛けを用意しているので楽しみにして下さい。第二海堡を中心としたツーリズムも春の本格運航に向けて手ごたえ十分。音楽・スポーツ・エンターテイメントで活気を呼び戻す政策は一歩を踏み出せたと思います」
-上地市長が選挙時に示した公約は、ロードマップ通り進んでいる印象です。
「政治家は公約を淡々とこなすのが仕事。それ以上でもそれ以下でもないというのが私の考え方。子育て支援を例にとれば、小児医療費助成を中学3年生まで引き上げ、所得制限も廃止しました。保育料の段階的無償化に公設学童の開設にも着手しました。4年間ですべてを実現するために全力疾走しています」
-昨年、人口40万人を下回り、減少に歯止めがかかりません。定住促進についての考えを聞かせてください。
「移住・転入の優遇策はあまり賛成できません。いまや全国の自治体が競い合っており、消耗戦の様相を呈しています。暮らしやすさを提供して市民の満足度を高めていく。これに尽きると思っています。注力すべきは域内の経済活性と福祉の充実です」
活力づくりにスポーツ・音楽
-谷戸再生の事業にも着手しました。
「谷戸の魅力を再評価する試みです。雄大な自然と日常生活の融合はマチュピチュの『空中都市』を彷彿とさせます。都市化ばかりが文化ではありません。田浦の谷戸地域に呼び寄せた陶芸家には、新たなコミュニティ形成の中心になってもらいたいと思っています」
-市内の経済状況をどう捉えますか。
「厳しい状態が続いています。『中小企業の発展なくして横須賀の再生なし』を持論としていますが、事業承継、創業を行政としてどのように支援していくかを常に考えています。半島経済を収縮に向かわせないために、経済のパイを広げる必要があります。これを実現するための前提として、街が元気でなければなりません。そのツールとして『音楽・スポーツ・エンターテイメント』があるのです」
-情報通信技術の集積地であるYRPは新局面を迎えています。
「ヒト・モノなどの移動を新技術で高度化・効率化する『スマートモビリティ』の取り組みを産官学の連携で進めています。先んじてこの分野を制していくことが重要です。移動手段のイノベーションは、谷戸対策につながるものでもあります。腰に装着すると簡単に階段を駆け上がることができる機器があれば高齢者の助けになるでしょう」
-個人的なアイデアですが、猿島と対岸の平成町エリアを往来する「ドローン宅配」の実証実験などはどうでしょう。
「『空飛ぶクルマ』などの開発も谷戸の交通手段として期待したい。夢のある話です」
-年度内で閉鎖が決まっていた新港町のポートマーケットは、民間事業者の運営で1年間延長される見通しです。これ以降の施設の方向性を聞かせてください。
「観光拠点として物販だけでなく、食事もできて、音楽も楽しめる。エンタメ要素満載の施設展開を思い描いています」
-最近の国政の話題から「入管法改正」「水道事業の民営化」について、どのように考えますか。
「外国人労働者の受け入れ拡大のためのものですが、『共生社会』の実現という観点では歓迎すべき事です。ただ、単なる労働力の供給であってはいけません。『来ていただく』という姿勢で臨まなければなりません。水道は命の源。民営化は馴染まないと思っています。ただ老朽施設の更新といった現実的な問題もあります。自治体の広域連携の発想は必要になるでしょう」
-最後に市民へのメッセージをお願いします。
「経済の豊かさ、心の豊かさ、まちの豊かさを大きな意味での福祉にどう収れんさせていくかが、私の一番の政治テーマ。『誰も一人にさせないまち』にはそうしたメッセージを込めています。これを実感できる横須賀にしていきたいと思っています」
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