横須賀・三浦 文化
公開日:2026.05.22
シリーズ②増加する外国人児童 「互いに認め合う環境を」
神奈川県内に住む外国人数が4年連続で過去最多を更新し、初の30万人台となった。近年、「隣人」としての存在感を増す外国人県民とどう共生するか―。今回は教育をテーマに全校児童の6割近くが外国につながっている横浜市内の小学校を取材した。
文部科学省によると、全国の公立小中高・特別支援学校等に在籍する外国人児童生徒は2024年度で13万8714人で、10年で約1・8倍増加した。外国人人口は2070年には1割を超えるといわれ、外国人児童生徒数は今後も増え続けていくと想定される。
外国にルーツ 6割
横浜市南区にある南吉田小学校は、全校児童約580人のうち6割近くが外国籍や海外にルーツを持つ。その要因には、利便性が高い都心部近郊の立地で保護者の就労の場が多いことや外国人コミュニティがある横浜中華街にも近いことなどが挙げられる。
同校は約10年前に外国人児童数が3割台から5割台に急増。そこで外国人児童の日本語教育と多文化共生教育に力を入れ、「誰一人取り残さない」ためのさまざまな取り組みを実施してきた。
違いが当たり前
海外から編入した児童はまず、市の日本語支援拠点施設「ひまわり」に通い、初期の日本語指導を受ける。並行して南吉田小の「国際教室」でも学校生活の中で日本語や文化に親しんでいく。授業では外国語補助指導員や母語支援ボランティアが入り、サポート。いない場合は日本語と母国語の分かる同級生が、代わりに助けてくれるのが日常の風景になっている。金子正人校長は「小学生時代は考える力を伸ばすことが大切。日本語に限定せず、思考力と学力を伸ばすことに主眼を置いている」と話す。
児童の多様なルーツに繋がる文化や言語に触れる機会の創出にも積極的だ。多言語による読み聞かせ活動は、母語を肯定的に捉える機会に。中国語やタガログ語など6カ国語のアナウンスで始まる運動会では、民族衣装の児童が聖火リレーをしたことも。多文化共生を象徴する行事として親しまれている。金子校長は「『違いが当たり前』の中で育ってきたことで、お互いの国や文化を認めて尊重し合う気持ちが根付いている」と話した。
横須賀市 皆で支えるはじめの一歩 空き教室活用し集中授業
横須賀市内の公立小中学校に在籍する外国につながりのある児童生徒は、令和7年度に272人を数えた。毎年減少の一途をたどる日本人の児童生徒数とは対照的に、過去5年間で100人以上増加している。
こうした状況を受け、市は諏訪小学校の空き教室を活用し、「日本語支援ステーション」を3年前に開設した。市内の小中学校へ転入・編入する児童生徒が学校生活にスムーズに適応できるよう支える施設で、希望者には日本語習得状況に応じた「初期集中指導」を実施している。10日間の限られた期間で教えるのは、いわゆる"サバイバル日本語"。挨拶やトイレに行きたいことを伝える意思表示など、学校生活を送るうえで最低限必要な言葉だ。
これと並行して、日本独自の教育文化を伝えることも同ステーションの重要な役割。世界では、テストの「〇」が不正解を示したり、暦や年齢の数え方が異なったりと、学校生活の習慣は国によりさまざまだ。国際教育コーディネーターとして日本語の指導や相談に応じている柳下知慧さんは、「午前中にに軽食の時間がある国もある。しっかり朝ご飯を食べて登校するよう伝えるなど、細かな戸惑いをなくすように配慮しています」と話す。
初期集中指導の終了後も、市は必要に応じて「日本語指導員」を各学校へ派遣し、最長2年間にわたり日本語の学習を支える体制も整えている。指導員として10年以上活動する金子睦美さんによると、「日常生活に支障がなくても、授業内容を理解するレベルに達するには数年間の継続的な支援が必要」という。
育まれる思いやりの心
クラスに外国につながりのある児童生徒が身近にいることは、多様な文化や価値観に触れる貴重な機会となっている。
たとえば、ネパール出身の生徒を迎えたある中学校では、クラスメイトの発案で学級内の会話を英語で交わす工夫が生まれた。一方で、「助けられる」ばかりではなく、英語を母語とする生徒が授業でリーダー役をいきいきと務めるなど、周囲を「助ける」存在となるケースもあるという。
国の文化や習慣の違いを超えて学べる環境づくりが進むなか、現場では互いの立場を認め合いながら温かな交流が育まれている。
ピックアップ
意見広告・議会報告
横須賀・三浦 ローカルニュースの新着記事
コラム
- LINE・メール版 タウンニュース読者限定
毎月計30名様に
Amazonギフトカード
プレゼント! -

あなたの街の話題のニュースや
お得な情報などを、LINEやメールで
無料でお届けします。
通知で見逃しも防げて便利です!












