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横須賀・三浦 人物風土記

公開日:2026.06.26

同級生を主人公にした漫画作品『BONZO─達也くんのこと─』を発表した 石渡 治さん 横須賀市湘南鷹取出身 67歳

  • 石渡 治さん (写真1)

結末は「前を向いている」

 ○…少年誌で数々のヒット作を生み出してきた人気漫画家の実験的挑戦だ。本人の言葉を借りれば「クラスの後ろで悪巧みをしている10人には届く作品」。平たく言えば”内輪ウケ”。全国区の万人に届かせる商業誌のセオリーを捨て、ウェブ配信という自由な土俵を活かして、興味のままにペンを走らせた。

 ○…作中の主人公は、全国的には無名のアマチュアバンドのドラマー。高校時代の同級生である友人の半生を本人から細大漏らさず聞き取り、圧倒的な画力と1コマに込める緻密な情報量で構築した。突き動かされたのは、バンド活動に傾けてきた圧倒的な熱量。薬剤師として身を立てながら、三笠公園の野外音楽堂で120回ものステージを踏んできた実績に感服。40年以上の時を経て聞かされた事実に「すげえじゃん、漫画に描いていい?」と衝動的に作品化を思い立った。

 ○…漫画家デビューは大学生時代。以来、生活の拠点は都内だが、ここ数年は親の介護などで地元の横須賀に帰る機会が多くなった。驚いたのは街並みの劇的な変化。かつてのEMクラブや東京靴下の工場は消え去り、汐入周辺は別物になっていた。記憶に残る「少し油臭い海」の匂いを探したくなり、範囲を広げて散策してみると、三浦半島の雄大な自然に改めて目が向くようになり、旧友たちとの再会が「創作の種」となった。

 ○…生まれた作品は、懐古趣味の思い出話ではない。「過去を美化して振り返る文化は大嫌いだった」と笑うが、年齢を重ねて他者のヒストリーを形にしていく面白さに目覚めた。紡いできた人生は後半戦になってもまだまだ面白いからだ。物語の結末は「まだ前を向いている」。全力で時代を駆け抜けてきた同世代にエールを送る。

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