横須賀・三浦 人物風土記
公開日:2026.06.12
第85回記念日本画院展2026で「望月春江」賞を受賞した 石渡 雅江さん 横須賀市上町在住 74歳
自由な「日本画」興味のまま
○…伝統的な日本画の技法を用いながら、観る角度や光の当たり方によって、新しい表情を浮かべる受賞作「クラゲ」は、縦227cm、横182cmの大作。テレビで見た鮮やかな色のクラゲの優美さや儚さに心奪われ題材に選んだ。水族館を訪れ、湧き上がった強い創作欲を形にした。4ヶ月間、日本画に欠かせない岩絵具を膠(にかわ)という接着剤で幾重にも重ね、透明感と浮遊感を表現した。
○…日本画との出会いは54歳のとき。足を患い、外出困難な日々に不安を抱くなかで知人の勧めで10ヶ月間、手ほどきを受けた。以降は独学で腕を磨き、「画風が定まっていない」という周囲の声も、「人生と同様に画風も変化する」と捉えて描き続けてきた。高校時代には卓球でインターハイに出場し、実業団でも活躍。卓球台をキャンバスの置き台に活用し、着物の生地をキャンバスにするなどの自由な発想で新しい日本画を生み出している。
○…表現への情熱は、絵画だけではない。歌手や司会としてボランティア芸能一座にも所属し、「マリー・ダイアモンド」の芸名でステージに立つ。自身の身体に何度もメスを入れた経験を、ダイヤモンドを輝かせる「ブリリアントカット」という技法になぞらえた。ネガティブをポジティブに変換する逞しさで、年間で20回以上もステージに立ち、多くの人に笑顔を届ける。
○…「心に浮かんだものを楽しく描くこと」が目標だ。これまでは絶滅危惧種の生物や被災地をテーマに、憂いや祈りを込めて描いてきた。しかし「クラゲ」を手掛けてからは、目で見て感じたことを思うままに描きたいと心境が変化。「今後は純粋に創作を楽しみたい」と語る。自由な表現を目指し、キャンバスに向かう日々は続く。
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