横須賀・三浦 コラム
公開日:2026.09.11
三郎助を追う 〜もうひとりのラストサムライ〜 第60回 文・写真 藤野浩章
「では、わしも同じことを申そう。幕府に金はない。だが、なんとかなる。わっははは」
◇
西浦賀・東福寺。歴代の浦賀奉行が就任時に必ず参拝していたという寺で、三郎助はついに小栗上野介と対面する。冒頭のセリフは、小栗のもの。「同じこと」というのは、ちょうど同じ場所で以前、勘定奉行だった川路聖謨(としあきら)から鳳凰丸建造を依頼された時の会話にちなんでいる。
すでに財政破綻となった幕府に、240万ドルもの建設費を工面する資力が無いことは誰の目にも明らかだった。ちなみにこの額は現在の価値にすると、人件費換算で1兆円にものぼるという説もあるほど巨額な上に、完成は4年後だ。幕府内でも反対が渦巻く中で「なんとかしてしまった」のが小栗なのだ。
ところで、本書で描かれている小栗と三郎助の対面だが、残念ながらその記録は残っていないという。しかし、これだけのプロジェクトに海軍のスペシャリストとして知られていた三郎助が何らかの形で加わっていてもおかしくはないだろう。小栗に建造を提案した小野友五郎は長崎以来の仲だし、もしかしたら榎本釜次郎からのルートでも名前が出ていたかもしれない。しかし勝海舟ルートは無いかも。などと考えるのは楽しい。
その勝は西郷隆盛と長州征伐でタッグを組み、薩摩は戦争相手であるイギリスと急接近していく。一方、小栗の秘策はフランスを味方につけることだった。
巨大国家プロジェクトが始まった裏側で、幕末の主役たちが揃ってきた。小栗にも三郎助にもやがて、いよいよ腹をくくる時がやってくる。
ピックアップ
意見広告・議会報告
横須賀・三浦 コラムの新着記事
コラム
- LINE・メール版 タウンニュース読者限定
毎月計30名様に
Amazonギフトカード
プレゼント! -

あなたの街の話題のニュースや
お得な情報などを、LINEやメールで
無料でお届けします。
通知で見逃しも防げて便利です!












