▽15日に行われた葉山町長選で元町議の山梨崇仁氏が当選し、葉山で歴代最年少の町長が誕生した。投開票前は記者の誰もが「読めない」としていた選挙だったが、ふたを開けてみれば思わぬ差がついた。
▽この結果は町民が山梨氏の改革力にかけた期待感の表れに他ならない。一般的に保守的とされがちな葉山だが、民意は前町長の森氏と保守系会派の伊東氏ではなく、改革を声高に掲げた山梨氏を選んだ。山梨氏は選挙で「葉山の豊かな税収が町民に還元されていないにも関わらず、役場の職員や議員の給与は高いまま」とし、その原因を「旧態依然とした馴れ合いとしがらみ」と切り捨てた。財政硬直化のため、公共施設の整備や新たな医療福祉の補助がされず、町民サービスを実感しづらい町民にとって、そうした山梨氏の訴えは甘美に映ったに違いない。また隣接する自治体の多くの首長が40歳前後と若返りを見せる中で氏の34歳という若さも追い風だった。
▽行財政改革、ごみ処理問題、下水道整備事業、課題が山積している葉山町に”待った”はない。その上で山梨氏には選挙で訴えたことを確実に行動に移す実行力が必要になる。大前提として、いかに首長だけが志を高く持っていたとしても、行政としての意思決定をすることはできない。議案の調整をするのは町の職員であり、決定するのは町議会だからだ。前町長が「老獪」とも言った町の幹部職員や議員たちと渡りあえる政治的手腕が不可欠になる。それを失念すれば町政には何も反映されず、半期もすれば「結局何も変わらない」と町民からの失望を買いかねない。
▽山梨氏の言う「町の旧態依然とした体質」は根が深く一朝一石での改革は難しいだろう。氏の34歳という若さを危ぶむ声もある。しかし、これまで町議として現場主義を貫いてきた体力でそうした壁も乗り越えてほしい。葉山町に課せられた問題を解決できるか否かはその手腕にかかっている。２月14日には就任後初めての議会定例会があるほか、３月までには期限切れとなる下水道計画の改定案を打ち出さなければならない。まずは２月定例会、山梨氏が町長として初の議会にどう臨むのか注目したい。
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