逗子の景観まちづくり瓦版 第四十二号
「ゴミの持ち帰りで美しい景観を」しまね たくみ
路線バスが静かに止まって、「さあどうぞ」と横断歩道の私に道を譲った。住処を求めて見知らぬ町にやって来た私はその瞬間、「逗子に住もう」と決めた。15年前のことだ。当時の逗子は、8時を過ぎればまちは眠り、花火大会はポーン、ポーンと休み休み打ちあがって、「え、いつ終わったの?」と辺りを見回してしまうほど、海にはもちろんゴミなどなく、静かな余韻を残して瞬く間にセレモニーは終わるのであった。
時代は変わって、45分の内に7千発が咲く逗子の花火は全国的にも有名になった。15年前にはほぼ住民しかいなかったであろう観客が今や10万人。それほど多くの人に愛されている花火は誇らしい気もするけれど、海に残された夥(おびただ)しいゴミが恨めしい。
海開きを迎えて、多くの海水浴客が集まれば、そのゴミも毎年恒例の問題になる。「景観」についてと思うとき、まずは風光明媚な場所を思い描くけれど、『ゴミのない美しい場所』こそが全ての景観の基本のように思う。
尾瀬から始まった「ごみの持ち帰り運動」、30円でゴミを引き取る北海道厚真町など、ゴミ問題は多くの自治体共通の課題。三浦半島の玄関口となる逗子には、「山も海もあるがゴミはない」、そんな景観を追求してほしい。ビーチクリーン等のボランティアでは追いつかない窮状を説明して、観光客の皆さんに協力を仰いだって良いのでは?
住んでいる人も訪ねた人も、同じく玄関で靴を揃えることで、お互い心地よく暮らせるように。
瓦版第42号平成27年
7月15日発行より転載
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