ブックオフ――。そこは記者の心を癒してやまない空間。オレンジ×ネイビーの看板を目にすると、手繰り寄せられるように店内へ。これまで1万回以上は足を運んだに違いない。水木しげる、つげ義春、大島弓子、岡崎京子、中島らも、町田康...など、今も心の支えになるアーティストたちを教えてくれた。行けば必ず"サブカル魂"を燃やしてくれる。特にここ数年通い続けているのが「BOOKOFF SUPER BAZAAR Luz湘南辻堂店」だ。とにかく品ぞろえが豊富で、リアル店舗でしか味わえない運命的な出会いや安心感もある。全幅の信頼を寄せる店長の標（しめぎ）幸一郎さん（38）に案内してもらった。

エンターテインメント性の高い空間

　全国800店舗以上を展開するブックオフ。「BOOKOFF SUPER BAZAAR」と付く店舗は500坪以上、複数商材を取り扱う店舗を指す。Luz湘南辻堂店は2012年12月にオープン。商業施設の3階を丸々使い、本やCD、DVDのほか、洋服、家電、楽器、ブランドバッグ、時計、スポーツ用品など32万点の在庫を有する大型店だ。

　店内を見渡すだけで興奮が止まらない。おや？ブックオフの本をリサイクルして生まれたプライベ－トブランド「幼児ドリルシリーズ」もあった。これも新しい発見だ。

古いモノには価値がある

　本やCDだけではない。湘南の地ならではのサーフボードがずらり。圧巻だ。「家族で楽しめるサーフィンショップ」をテーマに掲げ、ブックオフ店舗の中で、日本一の販売実績を誇るという。記者も若い頃、ブックオフでショートボードを購入した過去がある。うまく波に乗れなかったのだが...。安価で品質の良い商品をゲットし、すぐにマリンスポーツを楽しめそう。

　サーフボードの修理も受け付けており、割れやへこみ、剥がれなど、どんなダメージもプロの技術でしっかり修復してくれるという。

　金太郎飴のように、どこを切っても全国同じ店舗というわけではない。雪山が近い店舗ではスキーやスノーボードなど、現場に即した商品を展示している。「まちの皆さまから売ってもらえる商品で店が成り立っている。その土地に合った店づくりを心がけ、生活をより豊かにできれば」と標店長。

　北海道のある店舗ではアクリルスタンドなど、インバウンド向けのアニメグッズを増やし、飛ぶように売れているという。

　Luz湘南辻堂店も2月にリニューアルした。おもちゃやプラモデル、アニメグッズを増やし、家族みんなが興味を示すレイアウトにしたという。入り口近くに推しの商品、また関連性のある商品を近くに配置するなど、標店長のこだわりが垣間見れる。現在もホビー商品など買取強化中。きちんと適正な値段をつけてくれる。

無料アプリも便利

　定期的に配信されるクーポンでお得に買い物ができるのもうれしい。記者はネットで商品を選び、店舗で受け取れるサービスをよく利用する。自宅配送だと「もう本買いすぎ！」と妻に怒られるので...。

リユースのリーディングカンパニーへ

　「娘さんの誕生日に購入されたくまのぬいぐるみ。時が経ち、遊ぶこともなくなった。でも手放すには心苦しい。同じ思いで喜んでくれる人がいれば、と売りに来てくれたお母さまがいた。ジーンとくる瞬間がある。私たちスタッフは、気持ちのバトンをつなぐ役割がある」

　標店長はこう振り返りながら、仕事のやりがいを語る。

　SDGｓ（【12】つくる責任、つかう責任）の取り組みも進めている。スポーツ用品や食器など、国内では売れない商品は海外へリユース。資源回収率はほぼ100％で、洋服は工業用の布きんなどにリサイクルしている。

　いまや当たり前に手に入る中古本。本を定価で売っていた時代、創業者は「何とかディスカウントできないか」と既存の概念を壊した。

　標店長は「ブックオフに来れば、きっと何かに出会えるはず。そんな期待感を抱いてもらえるような店になれば。こんなのも売れるの？という商品もぜひご相談ください」とした上で、「リユースのリーディングカンパニーとして業界をけん引し、中古品をリユースすることを、もっとポジティブに捉えられる社会を目指します」といい、前を向いた。