市内に数多く残る、鎌倉ゆかりの名士らの居宅や別荘などの歴史的建築物。これらを活かした新たな観光のあり方を考えようと、(公社)鎌倉市観光協会(井手太一会長)は3月28日、「修復ツーリズムによる維持と活用」と題した体験会とシンポジウムを鎌倉山の扇湖山荘で開催した。
「修復ツーリズム」とは、一般市民や観光客が歴史的建築物の維持・管理に参加することで、これまでの「観る観光」ではない「関わる観光」を作り出そうというもの。歴史的建築物の維持管理をテーマにした勉強会「扇湖山荘を考える会」が発案、ネーミングした。
当日は同協会関係者ら約50人が参加。前半では約4万7千平方メートルに及ぶ扇湖山荘の敷地内の庭園散策のほか、障子の張替え体験、(株)豊島屋によるさくら餅ワークショップ、市民団体「よへい谷戸」が指導する竹細工作りなどが行われた。参加者からは「眺めが素晴らしい。こんな場所知らなかった」などの感想があがった。
続いて行われたシンポジウムには井手会長をはじめ、女優の鶴田真由さん、大学教授の宮崎緑さんら6人が登壇。「施設に手を入れることで、参加者は鎌倉の歴史に直接触れる機会ができる」「管理のために人に住んでもらうのも1つの手では」などの意見が出された。
同協会では今後、扇湖山荘の竹林でのたけのこ掘りや土壁塗りなど、修復ツーリズムの「モデルケース」作りを進めたい考え。井手会長は「古い建築物は鎌倉の大切な財産だが、市で管理し続けるのには限界がある。施設の維持と観光振興の一石二鳥の効果があれば」と話した。
扇湖山荘は、製薬会社「わかもと製薬」で財を築いた長尾欽彌・よね夫妻の別邸として1934年、飛騨高山の民家を移築・改築したもの。その後、美術館や料亭、大手都市銀行の研修所を経て、2010年に市に寄贈された。
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