市内赤松町にプライベートスタジオが完成し、ミュージシャンや音楽愛好家らの間で話題になっている。一見すると、ごく普通のスタジオだが、実は、壁から天井、重厚な防音ドアに至るまで、ドラム講師の木下 大さん(39)によって木材で手作りされたもの。特に「防音」にこだわり、緻密な計算のもと、DIYで完成させたスタジオを取材した。
辻堂駅から徒歩5分。駅近とは思えないほど静かな住宅街の一角に「Studio Mocca」はある。木下さんの自宅離れの「3重扉」を開くと、大鏡が張り巡らされ、ドラムにギター、音楽機材、モニターまで所狭しと並び、ハイレベルな空間が広がる。
「この辺りは音を鳴らすにはちょっと静かすぎる」とドラム歴23年、講師歴20年の木下さん。祖母が利用していた離れを有効活用できないかと考える中、プライベートスタジオを持つことが長年の夢だったこともあり、一念発起。2019年9月からDIYで自作することに。とはいえ、建築においてはまったくの素人。まず防音の仕組みについて勉強を始め、作り方はインターネットやYouTubeを参考に。それでも情報が少なく、常に手探りでの試行錯誤だった。
緻密な計算のもと
「防音」とは、重い素材で音を跳ね返す「遮音」と、音を吸収する「吸音」とで成り立つ。
そこで木下さんはホームセンターでそれぞれ一番ふさわしい材料を選び、妥協せずに価格も性能も高い素材を採用したという。また、壁や床、天井いずれも空洞となる層を設けることで、振動による音の伝達を防げることから、壁は20cmほどの厚さの三層構造、天井と床は二層構造に。扉は防音ドアを2枚、出入口ドア1枚の「三重」にして防音効果を高めた。
「一番難しかったのは防音ドアとその周りの戸当たり・枠の部分。ドアノブも特殊なハンドルのため、ドア枠側に設置する距離や高さなど、ミリ単位で設計・施工しなければいけなかったし、1枚推定80kgのドアの設置もひとりで行うのが大変だった」と吐露する。専門メーカーに依頼した場合、500〜1000万円ほどする防音室だが、今回の製作費用は「70〜100万円ほど。怖くてまだ計算していないけれど」と笑う。約10分の1の費用でプロ顔負けのクオリティに仕上げた。
「少し低音の音漏れがあるのが残念。でも妥協せずに全ての工程を丁寧にやり切ったことを誇らしく思う。DIY史上最高の防音スタジオになったんじゃないかな」。事実、周囲のミュージシャンも完成度の高さに舌を巻いているという。
「コロナ禍で音楽スタジオが休業や閉鎖しているので、ドラムや管楽器・ヴォーカルなどの個人の練習場所としても活用してもらえれば」
制作過程やスタジオの紹介は、インスタグラム【URL】https://www.instagram.com/studio._.moccaで紹介している。
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