今月いっぱいで活動を終える「小谷子ども見守り隊」の一人 右城 栄一さん 小谷在住 84歳
毎日を誰かのために
○…「いつもこれを着けるんです」と、見守り活動用のゼッケンを取り出した。元々は鮮やかな黄色だったが、16年間使い込まれて薄黄色になった。活動のきっかけは、栃木県で発生した誘拐殺人事件。小谷の住民や学校関係者との会議を通じ「地元っ子を守ろう」という動きが生まれた。通学路でも交通事故が発生しやすい、民家が少ない場所を調査。それから雨の日も、凍える日も街頭に立ち続けた。「保護者でもない我々がなぜ」という異論もあったが「おじさん、いつもありがとう」「こんにちは」という子どもたちの声が原動力になった。かつて見守った子どもたちは子育て世代になりつつある。
○…横浜市出身で、大学卒業後に車の販売店に就職。「一人っ子で育った自分がセールスマンをやれば、鍛えられるかもしれない」と選んだ道だった。戸別営業も重ね、顧客の都合に合わせ夜中の商談に行った事も。4年で530台を売った。商品力の前に雑談ができるかどうかも大切で、信頼関係がなければ売れない事も知った。その後、勤務先に近い寒川に移住。「昔の小谷は畑や空き地が広かった。あの頃は休みがなくて、家はカミさんに任せきりでね」と腕を組む。もうすぐダイヤモンド婚。
○…見守り活動はメンバーの高齢化もあり3月にピリオドを打つ。自身も足腰の痛みがこたえるようになった。「みんなの協力のおかげ。おつかれさまと言いたい」。ただ、ゆっくり腰を下ろすつもりはない。老人会の会長として、会員を通院先に車で運ぶボランティアを立ち上げた。会のサークルも枝葉を広げ会員も増えつつある。「会に入ってよかったと感じてもらえたら」。現役時代に心に刻んだ「顧客満足」は、今も自身の行動理念になっている。
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