4月1日付で平塚市消防本部の第22代消防長に就任した 田中 一雄さん 入野在住 56歳
消防のたすきつなぐ
○…約260人の消防職員たちを束ねる。辞令交付では幹部職員に「若手が仕事しやすい環境を作るのが私たち。明るくやってこう」と伝えた。これまで先輩たちが築いてきた、若手からベテランまで活躍する、風通しのいい消防を引き継ぎたいと意気込む。
○…富士見小、春日野中、五領ヶ台高校出身。「箱根駅伝で走りたい」と国士舘大学に進み、陸上部で汗を流した。長距離走に打ち込むきっかけは、中学時代に出場した市の駅伝大会。仲間と休み返上で練習したが、区間賞は取れなかった。「たしか浜岳中の『田中くん』が区間賞。同じ苗字だから妙に悔しくて高校から陸上を始めました」と笑う。箱根路を駆けることはできなかったが、実直に練習を重ねる姿勢が身についた。
○…救急救命士の資格をとって間もなかった15年ほど前、心肺停止の60代男性の救助に出動した。告げられたのは実家の住所。まさかと思いながら現場に駆け付けると、がんを患っていた父が親族から心臓マッサージを受けていた。自発呼吸ができない父に、チューブを挿入して酸素を送った。「救急救命士にしかできない処置の初の実践が父なんて、よくうまくできたと今でも不思議。涙で見えにくかったのを覚えています」と振り返る。祈るような母の顔も脳裏に焼き付き、以来救急車の同乗者には声をかけて不安を和らげようと心がけている。
○…市内小学生が所属する平塚市少年消防クラブの子どもたちの姿は、小さい頃から消防の制服や、敬礼する姿に憧れていた自分自身と重なる。「そのうちに、クラブで活躍していた子たちに採用試験で会えるかもしれない。そうなったらうれしいですね」。市民の暮らしを守る消防のたすきをつないでいく。
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