守屋輝彦小田原市長インタビュー前編から続く
―市立病院建て替えの今後の進め方は。
「市立病院の建て替えは基本計画が策定途中なので、どういう在り方にするのか議論を進め、医療連携の体制をつくっていきたいと思います。基本計画の内容は『どこに』『どんな機能を』が明記されていないと設計や建設に進めません。(現地建て替えの可否など)検証はこれからですが、時間に余裕はないと思っています」
―人口増など各政策の一つのゴールを2030年としたが。
「2030年を到達点として目標を設定し、人口20万人も含めて検証可能なかたちで示したいと思います。これまでの経験から、物事は30年、40年先ではなく、現実的にイメージできる10年スパンでないと動かない部分もある。ただ、先のことを言って自らが検証される立場にならないのは無責任です。(1期4年で)変化の予感は出さないといけないと考えます」
―都市計画に知見がある市長として、今後のビジョンは。
「これからは工業地や商業地など、それぞれをどうネットワークしていくかを考えていきます。『ここは住宅、工業地にする』という従来の都市計画とは異なるアプローチを考えていく必要があります。例えばカフェで仕事をする働き方に向け、今までのオフィスと商業空間の機能を合わせることで新たな地域の姿が出てきます。前々からまちをデザインする『アーバンデザインセンター』の拠点構想を持っていました。単なる出先機関ではなく、そこにビジネスの種が持ち込まれ、商業の場でもあるような、そんな空間創出をイメージしています」
―経済活性も期待されているが。
「観光客は徐々に回復していくと思っています。多くの方に来てもらうのはもちろんですが、大切なのは数ではなく消費刺激。良い時間と空間があれば消費額も上がると思うので、そちらにシフトすることも大切ではないでしょうか」
―選挙では民意が半々に分かれた。
「全国でも特筆すべき市民力や市民コミュニティは、それを支えてきた市民がいます。決して『前市政がやってきたものだから止める』ということではありません。これまで民間の知恵やお金が上手くミックスさせられなかった部分に守屋カラーを足すことで、経済も含めた市民力が発揮できると考えています」
―物事を決める際には市長としてシビアな判断も必要だが。
「それが政治の役割。決断の連続で重圧はありますが、議論の先延ばしは良いものではありません。考えを足して二で割るものではなく、関係者が納得した上で進められるかが重要だと思っています。市長は限られた時間で結論を出し、そこに責任を負う。まずは成果の兆しを見せていきたいと思っています」
(6月30日取材、聞き手/編集長・野口康英)