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秦野 人物風土記

公開日:2024.02.16

特定NPO法人「イランの障害者を支援するミントの会」の理事長を務める
パシャイ モハメッドさん
南矢名在住 54歳

母国に届ける、支援と笑顔

 ○…一瞬の出来事だった。イランから来日後、土木関係の仕事に従事していた2004年2月。作業中に高所から転落し、約660kgもの機械が胸に落下した。奇蹟的に一命を取り留めるも、脊髄を損傷。以後、車いすでの生活を続けている。昨年12月、横浜市で行われたイベントで講師を務め、自身が継続しているイランへの車いすの提供などの取組を紹介。「いろいろな人が参加し、活動を知ってもらえてうれしい」と流ちょうな日本語で語った。

 ○…イラン西部のハマダン出身。サッカーなどを楽しむ活発な少年時代を過ごしていた。20代前半の頃に日本を訪れ、土木関係の職に就くと「なんでこんなに道路をきれいにつくれるんだろう」。現場のプロたちの丁寧さや、誠実に働く姿勢に感銘を受け「日本にハマった」という。日本語は働きながら仕事仲間などから教わった。好きな言葉は「お世話になっております、かな。感謝を伝える言葉が好きです」。

 ○…事故の後、通算11カ月の入院生活を経て退院。以後、障害を負った人の力になりたいと06年、不要になった車いすなどを引き取り、イランの障害者に贈る活動を開始した。支援促進のため、数年後にNPOを設立。「これまでに車いす400台以上、介護ベッド50台以上をイランに贈ることができました」と力強く語る。

 ○…家庭では妻と2人暮らし。大好きなサッカーの観戦を楽しんでいるほか、テレビ番組では「開運!なんでも鑑定団」がお気に入り。出品された「お宝」が本物かを「当てるのが楽しい」と笑う。支援活動の一環で、22年12月にはイランにリハビリテーションセンターを開設。今後も挑戦を続けていく。多くの人の笑顔のために。

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