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公開日:2026.03.27
"大人の社交場" 灯消える
かみむら酒店 80余年に幕
3代続いた渋沢駅そばの酒店「かみむら酒店」が、3月31日で80余年の歴史に幕を下ろす。店で買った酒をその場で飲める「角打ち」ができる珍しい酒店として地域住民に愛されていたが、惜しまれつつ閉店する。
かみむら酒店を営むのは、3代目の上村之弥さん(71)。妻の久美子さん(67)によると、親戚を頼り東京から疎開してきた初代が昭和13(1938)年に開いた店だという。
40年前に久美子さんが嫁いだ時、角打ちはどこの酒屋も当たり前にやっていた。仕事帰りの人達が一杯飲みながら交流する姿が見られたが、企業の人員削減や撤退、コンビニやスーパー、居酒屋の台頭などで人の流れが変わり、いつの間にかその光景は姿を消した。
老若男女集う場に
「配達も減っているし、店売りだけでは限界がある。これではただお客さんが減っただけだ」と考えた上村さん夫妻は、フェイスブックなどを使い再び角打ちのPRを始めた。最初は全然来なかった来店者も次第に増え始め、最近では日に概ね10人以上の人が集まり、酒を酌み交わしながら交流を深めている。
これに合わせ、店内で角打ちができるよう商品棚2台をテーブルに流用し、飲食スペースを作った。さまざまな職種の20〜80代、中には子連れやペット連れなど老若男女が集う場所になり、常連以外の登山客や外国人客なども飛び込みで訪れることがある。
食べ物は来店者の手作り品や、地元の商店などで買ったものをそれぞれが持ち寄り。音楽仲間が集まり、店内に置いてあるギターで練習や演奏する人もいれば、その演奏で来店者たちが歌ったりすることも。中にはかみむら酒店の角打ちの様子を歌詞にした曲を作った人もおり、地元に愛される「大人の社交場」として根付いていた。
閉店を決断
そんな中、経済的・体力的観点から決断した閉店という選択。角打ち文化の発祥と言われる九州出身の客から「向こうでは時間制限を設けたり、角打ち価格にしたり、料理を提供したりしている」という意見も出たが「みんなが和気あいあいと集まれる場だから、それはしたくない」と値上げなどはしなかった。
一時、娘の夫が4代目として店に入っていたこともあり継続するという選択肢もあったが、家族で協議を重ねた結果、昨年9月に翌年3月末の閉店という決断を下した。
「感謝しかない」
3月16日の夜に行われた角打ちにも、10数人の常連が集まり盃を交わしていた。テーブルには参加者が持参したジビエ料理や野草料理が並び、母子の姿も見られた。
中には「ここでよく会うんだけど実はお互いの名前を知らないんです。今さらですが」と改めて自己紹介を始める人の姿も。別の参加者も、「初めて来た人でもすぐ馴染めちゃうのが、ここの角打ちのいいところ」と楽しそうに笑う。
それだけに、その場にいた人たちは「なくなってしまうのは残念。これからどこに行けばいいのか。かみむら難民です」と口を揃える。再開当初から毎日のように通っているという常連の一人は、「年齢、職種関係なくいろいろな人と出会える素晴らしい場所なのに」と話す。
閉店を目前に控え、久美子さんは「みなさん、足を運んでくれてありがとうという思い。感謝しかない」と語る。ここでなければ出会わなかった人も多く、若い客からは多くの刺激も受けた。
21日には、閉店を惜しんだ地元アーティスト5組がライブを開催。「ここで出会った人たちがつながってくれていることがうれしい。角打ちを続けてきてよかった」と久美子さんはほほ笑んだ。
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